Rani SuarniによるPixabayからの画像
ドイツにおけるプールの「常識」が近年、大きく変わり始めている。
2023年3月、市民プールの運営団体は、「誰でも上半身裸で利用できる」という新たな規定を採用。この背景には、「裸になる権利」を求める女性たちの異議申し立ての動きがあった。
動きのきっかけは、2021年6月20日にベルリンで起きた出来事。38歳の女性が、暑い日に6歳の息子と公園の水遊び場を訪れ、上半身裸でリラックスしていた。
しかし、公園管理者に下着着用を求められ、それに対して女性は「差別だ」と抵抗。この時、周りには多くの上半身裸の男性がいたとのこと。
その後、この女性は「全ての胸に平等を」という抗議運動を開始。彼女は、性的な視線によって女性の権利が不当に制限されていると主張し、ベルリン市の反差別法に基づいて是正措置を求めた。
そして賛同した市民らがデモ活動を繰り広げ、「トップレスか、暴動か」を合言葉に上半身裸で自転車を走らせるところまで、問題が大きくなった1。
申し立ての審査に当たった弁護士は結果、女性の訴えを認め、
「主観的な道徳感情は後回しにされなければならない。不快に感じて目をそらすことができる限りは、平等性を是とする」
と結論付け、区側はトップレスを認める方針を示す。
同様のケースは2022年12月、市民プールでも発生。こちらでも女性側の訴えが認められ、ベルリン全体の市民プールを運営する公営事業団は2023年3月、「トップレスでの水泳は誰にでも等しく許可される」と表明した。
裸はいつから恥ずかしくなったか: 「裸体」の日本近代史 (ちくま文庫)
幕末、訪日した外国人は混浴の公衆浴場に驚いた。日本人が裸に対して羞恥心や性的関心を持ったのはいつ頃なのか。「裸体」で読み解く日本近代史。
ジェンダー平等と自由の象徴として
女性が上半身を覆う習慣は、ドイツを含む欧米で一般的であるが、この規範がどのように生まれたのかは興味深い問題だ。