韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12月3日夜、突如として非常戒厳を宣言。国内外に衝撃を与え、多くの市民や専門家から「民主主義への重大な挑戦」との批判を受けた。
尹大統領は同日午後10時半頃、テレビ演説で野党を「体制転覆を狙う反国家勢力」と非難し、1987年の民主化以降初となる戒厳令を発令1。戒厳令により、国会や地方議会の活動停止、政治集会の禁止、報道の統制など広範な措置が実施されている2。
この発表を受け、国会前には深夜にもかかわらず数千人規模の市民が集まり、抗議活動を展開。「戒厳令を撤回せよ」「尹大統領の責任を追及せよ」といったシュプレヒコールが上がり、一部の参加者は過去の軍事独裁時代や光州事件を思い起こす事態と述べた。
戒厳令は宣言からわずか数時間後の12月4日未明に解除3。迅速な解除には、市民の強い抵抗と抗議活動や国会による戒厳令解除の議決、軍部が強硬手段に出なかったことなどの背景が考えられる。
いずれにせよ今回の事態は、韓国の民主主義の強さを示すと同時に、権力の濫用に対する市民の警戒心の高さを浮き彫りにした。
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