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サッカー女子ワールドカップ(W杯)の日本国内でのテレビ放送が、20日に迫る開幕を前にして、いまだに決まっていない。
FIFA(国際サッカー連盟)が求める高額の放映権料を前に、日本テレビ局が”二の足”を踏んでいる状態だ。
FIFAは女子選手の待遇改善を掲げ、今回のW杯の賞金総額を前回2019大会よりも4倍近く増やし、1億1000万ドル(約158億円)にする考え。これを放映権料でまかなおうとし、放映権料の価格高騰を招いた。
サッカージャーナリストの後藤健生さんは、東京新聞の取材に対し、
「放映権は従来、男女大会セットの契約だった。それを今回、別々の契約にした。FIFAは男子の10%と放映権料を見込んだが、各放送局との交渉は暗礁に乗り上げている」
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とし、
「女子サッカーは欧州勢が米国に迫る勢いでレベルを上げ、日本も優勝を狙える位置。ハイレベルな試合を楽しめそうな大会だが、欧州各国でも放映権交渉は難航した」
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とする。
今年5月FIFAのインファンティノ会長、WTO(世界貿易機関)の会合で、
「男子W杯の放映権料が1億ドルから2億ドルであるのに対し、(各放送局からは)女子に対しては100万ドルから1000万ドルしか提示されていない」
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と苦言を呈し、欧州主要国のスポーツ担当大臣がコメントを出す事態にまで発展した。
放映権は、アメリカでは昨年末に決まったものの、ドイツ、イングランド、スペインといった欧州主要国・地域においては長らく放送局が決まらない状況が続く。
それでも先月、主要国を含む欧州34カ国・地域での放送について欧州放送連合(EBU)と合意した4。
ほか、アジアでは韓国やベトナムでも放送が決定している。このままでは、かつてのW杯優勝国である日本の女子サッカーの”衰退”まで招きかねない。
”高騰”? ”男女平等”? 放映権料問題
欧米では、女子サッカーの人気が凄まじいものある。2022年の女子欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝には、9万人以上の観客が集まった5。