今年の米大統領選挙では、ドナルド・トランプ前大統領が予想を上回る大勝を収めて再選。一方、ハリス氏の選挙戦では、バイデン大統領の政策との違いを打ち出しにくかったことや、主要な有権者層の支持離れなどが問題となった。
ハリス氏の女性支持率は53%にとどまり、2020年のバイデン氏の支持率より2ポイント低いとされる1。また、若者層やヒスパニック系など、従来の民主党支持層の一部で支持を失った2。
トランプ氏の勝利の背景には、アメリカで根強い反知性主義の流れが影響している。反知性主義とは、知識層や知的な価値観への反感、またはそれらを否定しようとする姿勢を指す。アメリカでは建国当初から知的権威やエリート層への批判的な潮流が存在し、時に先鋭化して歴史の中で顕在化してきた。
また、2024年の大統領選挙報道では「sanewashing」という現象も問題視3。Sanewashingとは、過激な発言や非常識な言動を穏当で受け入れやすいものに見せかける行為を指す。
今回、メディアはトランプ氏の発言を報じる際に、支離滅裂な演説を「補正」し、意味が通るようにしたり、問題発言を削除したり、補足説明を加えたりした。
結果として、メディアはトランプ氏の真の姿を伝えきれず、かえって彼に有利な報道となった。
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