このため、自治や独立をめぐる議論は、制度論を超え、植民地の記憶と民族的アイデンティティの回復という意味を帯びている。
また近年では、グリーンランドでも完全独立を求める声が再び高まり、2025年の議会選挙では独立派政党が支持を拡大した。ただし独立への道は容易ではない。なお、トランプ政権による「グリーンランド接収論」は島民の自尊心を傷つけた一方、「米国に吸収されるよりは、デンマークの下で自治と人権を守るほうが現実的だ」という判断も広がった。
住民は強い民族意識を持ちながらも、安全保障という国際的現実を無視できない立場にある。デンマーク政府が「グリーンランドはグリーンランド人のものだ」と強調したことは、関係修復の一歩であると同時に、主権問題の複雑さを示している。
2025年の世論調査では、住民の85%が米国への吸収に反対している1。米国の強硬姿勢は、結果的に独立派を含むグリーンランド島民の間でデンマークとの関係を強化させた。
グリーンランド地下の米軍基地遺産、半世紀越しの環境問題に
グリーンランドの氷床下には、冷戦期に米国が建設した極秘軍事施設「キャンプ・センチュリー」が存在する2。1959年、極地研究を名目に設置されたこの基地の真の目的は、「プロジェクト・アイスワーム」と呼ばれる大陸間核ミサイル配備構想の試験拠点だった3。
1アメリカがグリーンランドに強い関心を示している背景には、単なる領土的欲求を超えた地政学的必然性がある。 2グリーンランドとデンマークの関係については、形式上は王国共同体として機能しているものの、植民地支配の歴史と複雑な感情が横たわっている。 3グリーンランドの氷床下には、冷戦期に米国が建設した極秘軍事施設「キャンプ・センチュリー」が存在する。 41959年、極地研究を名目に設置されたこの基地の真の目的は、「プロジェクト・アイスワーム」と呼ばれる大陸間核ミサイル配備構想の試験拠点だった。
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- Opinion poll in Greenland, January 2025. (2026). Retrieved 17 January 2026, from https://www.veriangroup.com/news-and-insights/opinion-poll-greenland-2025
- CAMP CENTURY EVOLUTION OF CONCEPT AND HISTORY OF DESIGN CONSTRUCTION AND PERFORMANCE. (2026). Retrieved 18 January 2026, from https://apps.dtic.mil/sti/citations/AD0477706
- Melting Ice In Greenland Could Expose Serious Pollutants From Buried Army Base. (2026). Retrieved 18 January 2026, from https://www.npr.org/sections/thetwo-way/2016/08/05/488872411/melting-ice-in-greenland-could-expose-serious-pollutants-from-buried-army-base

