統一地方選挙スタート しかし名ばかりの「統一」 100%統一は初回の第一回選挙だけ 全国の都道府県議選 4分の1は無投票

国際
スポンサーリンク

Carmen CarbonellによるPixabayからの画像

 今年で20回目となる、第20回統一地方選挙が、23日、9つの道府県知事の告示でスタート。女性7人を含む計33人が立候補した。

  26日には、6つの政令指定都市での市長選が、31日には九州の7つの県を含む41の道府県議会選挙が、そして福岡、熊本など17の政令市での市議選が告示、4月9日に投開票される。

  争点は、加速する人口減少などの地域課題などの暮らしや、物価高騰対策などが問われる。あるいは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題も焦点に。

  今年は、大型の国政選挙の予定がなく、現時点での岸田政権の評価や各政党への評価も問われる。

  統一地方選挙は4年に一度行われる。前半戦が4月9日、後半戦が4月23日に投票。対象となる自治体の長や議員の選挙は、全国で980あまり1

  23日に告示されたのは、まず北海道、神奈川、福井、大阪、奈良、鳥取、島根、徳島、大分の知事選。

 大分は新人同士の一騎打ちとなり、奈良と徳島は「保守分裂」となる見通し。自民党は「必勝態勢」を構築できず2、二つの保守分裂選挙を招いた。

  一方、日本維新の会は、本拠地である大阪の外へと勢力の拡大を狙う。立憲民主党は候補者の擁立で後手に周り。党勢の拡大には結びつかない。

関連記事→

スポンサーリンク

名ばかり 「統一」地方選挙 100%統一は初回の第一回選挙だけ

 
 「統一」とは、本来、

  「一つのものをまとめること。一つの組織・系統のもとに整えること。」

精選版 日本語大辞典

 を意味する。

  しかし「統一」とはいいながらも、統一地方選挙で100%統一されて選挙が一斉に実施されたのは、初回の第一回統一地方選挙が行われた1947年のみ3

  以後は、首長が任期途中で辞任したり、議会が解散したり、あるいは市町村合併が行われるなどし、統一地方選挙の対象から外れる自治体が続く。そして今回の第20回目となる統一地方選挙の統一率は、27.43%だけ。

  このうち、知事と市区町村=首相のみでみると、統一率はさらに下がり、13.09%ほど。

  日本政治が専門の東京大学の内山融教授はNHKの取材に対し、

 「統一率が3割を切っていると、有権者の関心を高めることや、選挙経費の削減といった統一地方選挙の本来の趣旨が実現されておらず、もはや統一地方選と呼べるのか。

 一方で、そもそも統一すべきなのかという考え方もあり、統一することによって、どのぐらい有権者の関心や投票率が高まるのか、何億円の節約ができるのかを実証的に分析し、メリットとデメリットを議論することが必要だ」

4

 とする。

全国の都道府県議選 4分の1は無投票 1人区の半数超216人も無投票当選

  朝日新聞の報道によると、47の都道府県議選の直近の選挙で、実際には全体の4分の1が無投票で候補者は当選していた5。有権者数でみると、全体の2割超の約2400万人が投票の機会を失っている形に。

  とくに定数が1の「1人区」では、その半数超の216人が無投票となっていた。国政選挙では、選挙区で落選しても比例区での復活や票の上積みが見込める。

  しかし、地方議会はそうはいかない。とくに1人区では野党系の候補者の擁立が難航を極め、結果として自民党系の候補者の無投票での再選がつづくという形に6

  朝日新聞によると、市区町村を含めた地方議会は15.2%が直近の選挙において無投票。都道府県議会全体において無投票となった選挙はなかったものの、「一部が無投票」などの回答だった7

  47都道府県議選の全1090選挙区を調べてみると、407選挙区(37・3%)の684人が無投票で当選し、定数2679の25・5%に該当。直近に行われた全国の町村議選は当選者の23・1%が無投票だったため、それよりも割合は高い。

  また、無投票当選だった407選挙区を定数別で比較すると、1人区は53・1%を占めた。

地方議会 「なり手不足」深刻  海外でも

 「多様性」が叫ばれるなか、しかし地方議会の現状は深刻だ。共同通信の調査では、2022年11月1日時点で女性議員が1人もいない「女性ゼロ議会」が都道府県と市区町村の全1788地方議会中、257で14.3%を占めた8

  2019年の当選者の平均年齢は全選挙で50~60代、なかには90代も9

  地方議会選挙の場合、現職は知名度や実績があるため、新人候補よりも有利に働く。2019年で現職の首長と議員が当選した「再選率」は平均で90%と圧倒的。

  新人が当選しにくい状況は女性や若い世代の参画が進まない原因の一つ。また、無投票が増えているのは、議員らのなり手が不足しているから。

 ただ、地方議会をめぐる現状は世界共通。アメリカでは2020年に47の州で州議会議員選挙が行われたが、27%の選挙区が無投票となった。

  イギリスでも近年、地方議会選挙において0%~6%の間で無投票当選が生じている。あるいはニュージーランドでも、2022年の地方選挙において20%が無投票となっており、また14の欠員も生じている10

  1. NHK「統一地方選 2023」https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/touitsu/?ssp=1&darkschemeovr=0&setlang=ja-JP&safesearch=moderate 
  2. 西日本新聞「自民 保守分裂を憂慮」2023年3月24日付朝刊、3項 
  3. NHK 政治マガジン「統一できない統一地方選挙 27%しかやらない理由は・・・」2023年1月10日、https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/93571.html 
  4. NHK 政治マガジン、2023年1月10日 
  5. 菅原普・津田六平「全国の都道府県議、4分の1は無投票当選 1人区は半数超の216人」朝日新聞デジタル、2023年3月4日、https://digital.asahi.com/articles/ASR341VGGR2NOXIE034.html?_requesturl=articles%2FASR341VGGR2NOXIE034.html&pn=7 
  6. 菅原普・津田六平、2023年3月4日 
  7. 菅原普・津田六平、2023年3月4日 
  8. 安藤美由紀「データでみる統一地方選 なぜ「統一」なのか 地方議会の現状は…」東京新聞、2023年3月23日、https://www.tokyo-np.co.jp/article/239212 
  9. 安藤美由紀、2023年3月23日 
  10. 原口和徳「低投票率と無投票は海外でも問題に。統一地方選挙はどうなる?」選挙ドットコム、2023年3月12日、https://go2senkyo.com/articles/2023/03/12/78068.html 
Translate »
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました