イランで大規模デモ、通信遮断の中ででも続いたハイブリッド弾圧 スターリンクの遮断とBluetoothアプリで蜂起 同国では渇水も深刻 

アジア
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Franz BachingerによるPixabayからの画像

 2025年末から2026年にかけて、イランでは大規模な抗議運動が広がった。きっかけは、通貨リアルの急落や食料価格の高騰による生活苦だったが、運動は短期間で政府そのものの退陣を求める全国的な政治運動へと変化した1

要約

2025年末から2026年にかけてのイラン抗議運動は、通貨暴落と物価高を契機に始まり、短期間で体制の正当性そのものを問う全国的政治蜂起へと発展した。政権は武力、監視技術、通信遮断、心理戦を組み合わせた「ハイブリッド弾圧」で対応し、情報遮断下で大規模な国家暴力が拡大した。一方、市民は衛星通信やBluetoothによる分散型通信で抵抗を試みたが、安全性や限界も露呈した。さらに深刻な渇水危機が社会不安を増幅させており、水資源管理をめぐる不満が体制批判と結び付いている。

記事のポイント

  • 抗議運動は通貨暴落と物価高を契機に、体制転換を求める全国的・政治的蜂起へ発展し、宗教的正統性に基づく統治が大きく揺らいだ。
  • 政権は武力・監視技術・通信遮断・心理戦を組み合わせた「ハイブリッド弾圧」で対応し、情報遮断下で国家暴力と正当性の侵食が進んだ。
  • 市民は衛星通信やBluetoothメッシュなどで抵抗を続けた。

Summary

The Iranian protests from late 2025 to 2026 began amid currency collapse and soaring prices, rapidly escalating into a nationwide political uprising that challenged the regime’s very legitimacy. The regime responded with a “hybrid crackdown” combining military force, surveillance technology, communication blackouts, and psychological warfare, allowing large-scale state violence to escalate under information blackout conditions. Meanwhile, citizens attempted resistance using satellite communications and decentralized Bluetooth networks, though their safety and limitations were exposed. Furthermore, a severe drought crisis is amplifying social unrest, with discontent over water resource management intertwining with criticism of the regime.

Translated with DeepL.com (free version)

 1979年のイスラム革命以来、宗教的な正当性と強い治安統制によって維持されてきた体制は、深刻な経済不安、若者の将来への失望、女性主導の社会運動の再燃によって大きく揺らいでいる。

 政府はこれに対し、武力による弾圧に加え、監視技術や情報操作、インターネット遮断を組み合わせた「複合的な弾圧」を行った2。その結果、市民の行動や情報発信は物理的にもデジタル上でも強く制限され、流出した遺体の写真などからは、数万人規模の犠牲者が出ている可能性も指摘されている3

 また政権は、「モハレブ(神の敵)」という宗教的な罪を恣意的に適用し、無差別な暴力を正当化していることも明らかになった4。インターネットが遮断されることで国際社会の監視が届かず、「情報が届かない場所」で国家暴力が拡大している。

 それでも市民は、衛星通信やスマートフォン同士を直接つなぐ通信技術を使い、政府の統制を突破しようと試みた5。イランの事例は、デジタル時代の権威主義体制が抱える限界を示唆している。

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1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。 シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。 国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至る...
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イラン政権、抗議を「戦争13日目」と位置づけ 軍事ロジックが国内への抑止に転用される

 昨年6月の「12日間戦争」でイスラエルがイラン奥地を攻撃した事案があった。そしてイラン政権は国内での抗議をイスラエルとの「戦争13日目」と位置づけ6、抗議者を外国工作員として描写することで、軍事的論理を国内統治に持ち込んだ。

1そしてイラン政権は国内での抗議をイスラエルとの「戦争13日目」と位置づけ、抗議者を外国工作員として描写することで、軍事的論理を国内統治に持ち込んだ。 2スマートフォン同士が直接つながる仕組みが、厳しい統制下でも通信を可能にした。 3政府は首都移転まで検討しているが、国内利権の構造が対策を阻み、対応の遅れが社会不安を拡大させている。 4渇水は、単なる環境危機にとどまらず、社会動乱と体制不安を増幅させる「リスク増幅器」となっている。

マウスオーバーか長押しで説明を表示。
  1. イランで物価高騰への抗議が拡大、デモ隊と治安部隊の衝突で死者も. (2026). Retrieved 24 January 2026, from https://www.bbc.com/japanese/articles/c2e17dmd01yo 
  2. 【分析】反体制デモの鎮圧手法を急速に高めたイラン 最先端の軍事技術に高度な心理作戦. (2026). Retrieved 24 January 2026, from https://www.cnn.co.jp/world/35242685.html 
  3. Photos leaked to BBC show faces of hundreds killed in Iran’s brutal protest crackdown. (2026). Retrieved 24 January 2026, from https://www.bbc.com/news/articles/c0r4957rq8ro 
  4. Jon Gambrell, Associated Press  . Iran’s top prosecutor denies Trump’s claim 800 prisoners were spared execution. (2026). Retrieved 24 January 2026, from https://www.pbs.org/newshour/world/irans-top-prosecutor-denies-trumps-claim-800-prisoners-were-spared-execution 
  5. イランのネット封鎖、異例の100時間超に スターリンクも初の遮断. (2026). Retrieved 24 January 2026, from https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1392F0T10C26A1000000/ 
  6. Looking back at Israel and Iran’s ‘12-day war’: Direct conflict breaks out between arch-enemies. (2026). Retrieved 28 January 2026, from https://www.france24.com/en/middle-east/20251226-looking-back-israel-iran-12-day-war-direct-conflict-breaks-out-between-arch-enemies  
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