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今年最大の話題作とも言っても過言ではない映画「オッペンハイマー」(原題)が、本国アメリカ公開(7月21日)を目前にして、日本ではいまだ”公開未定”という事態に陥っている。
問題となっているのは、現代の映画業界において、その動向が一番注目されているクリストファー・ノーラン監督(「TENET テネット」)の新作だ。
近年、このようなメジャースタジオの話題作は全米公開の時点で日本の公開日もアナウンスされるほどで、現時点でも日本公開日が決まっていないことが極めて異例。事実、アメリカの業界紙「Variety」でも「日本では劇場公開されるのか」1という記事を載せている。
なぜ、公開が未定なのかというと、”おそらく”「オッペンハイマー」が原子爆弾を開発したアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いた作品だからだろう。
彼は、第二次世界大戦中にマンハッタン計画を指揮し、その結果として原子爆弾の製造に成功。
ニューメキシコ州での核実験を経て、その爆弾が1945年8月6日に広島、8月9日に長崎に使用されることとなる。先の業界紙「Variety」の記事は、こういった内容が、どのように日本の関心を集めるか危惧している。
通常通り、アメリカとほぼ同時の7月21日公開なら、8月の広島と長崎の慰霊の日と重なるので、たしかに日本での公開はセンシティブにならなくもない。
とはいえ、ノーラン監督が次回作としてオッペンハイマー氏を題材にしていたことは、もう”何年も前”から分かりきっていた話。
しかし、本国アメリカでは試写でみた関係者らが、上映後に打ちのめされて言葉を発せなくなる者や、映画で受けた衝撃から精神的に立ち直るまで1週間を要した者もいるとされ2、過剰反応になる気持ちも分からなくはない。
問題の”核心”は、日本で配給を担当するのが、東宝東和であるとう事実だ。
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危惧される「アンブロークン」の二の舞?
危惧されるのは、このままだと「オッペンハイマー」が2016年に日本で公開されたアンジェリーナ・ジョリー監督作「不屈の男 アンブロークン」の”二の舞”になりかねないことだ。