7月にアメリカで公開された映画「バービー」と「オッペンハイマー」の公開キャンペーンをめぐり、アメリアカの映画会社に対する反発が日本で起きた。
コメディー映画の「バービー」と”原爆の父”と呼ばれたオッペンハイマーの伝記映画が、なぜ結び付いたのか。
防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長は、Forbes JAPANに次のように語る。
「バービーと原爆のいずれもが、米国の白人社会にとって、米国が最も豊で強かった時代を象徴するアイコンとしての共通点があるのではないでしょうか」
1
一方、アメリカの世論調査ピュー・リサーチ・センターが2015年4月に行った世論調査では、1945(昭和20)年の広島・長崎への原爆投下が「正しかった」と考える人の割合が、56%にまで減っていることが分かった。
ちなみに原爆投下初期の1945年9月のギャロップによる調査では85%のアメリカ人が原爆の投下を正当化している2。
他方、日本人”でさえ”、他人のことを文句が言えないことは事実だ。2015年の戦後70年にあわせてNHKが行った世論調査では、広島と長崎に原爆が投下された日付を正しく答えらえた人は、わずか3割ほどだった3。
同様の世論調査は10年ごとに実施されている
■広島への投下日の正答率
4
【広島市】
77.0%(1995年)
68.6%(2015年)
【長崎市】
85.1%(1995年)
50.2%(2015年)
【全国】
37.5%(2005年)
29.5%(2015年)
■長崎への投下日の正答率
【広島市】
57.9%(1995年)
54.2%(2015年)
【長崎市】
89.8%(1995年)
59.2%(2015年)
【全国】
25.6%(2015年)
一方、最新の研究により、”原爆の実態”がより鮮明になっている。日本人も原爆についての”知識のアップデート”が必要なのだ。
関連記事→
原爆の真実 イギリス、カナダ、アメリカによる共同プロジェクト
公文書研究の第一人者である有馬哲夫・早稲田大学教授は、著書『原爆 私たちは何も知らなかった』の中で、日本人の多くが知らない原爆の事実を明らかにしている。