社会的弱者を包摂してきたはずのリベラル勢力が市場原理を補完する存在へと転じた結果、中間層の没落と格差拡大が進み1、政治への不信と無関心が拡大している。
いま求められているのは、左右対立の再演ではない。国家と市場、個人と共同体の関係を捉え直す「再定義された中道」である。その視座は、1990年代の欧州で模索された「第三の道」と重なる2。
「第三の道」は、市場経済の効率性を認めつつ、雇用や教育、社会的投資を通じて包摂的社会を再構築し、福祉を将来への制度的投資として位置づけることで、個人の自立を支える国家の役割を再定義しようとした思想であった。
しかし日本では、この理念は定着しなかった。長期停滞の原因が国家の非効率や既得権益に帰され、再分配や社会的再投資よりも規制緩和と緊縮財政が優先されたこと3、保守・リベラル双方が新自由主義的経済観を共有し「中道を再定義する」という政治的要請が形成されなかったこと、さらに理念を理論化し公共的議論へと展開する知的基盤が弱かったことが重なったためである。
「安定」と「変化」の均衡が奪われた日本政治の現在地 再生のためにできること
現在の日本政治は、長期的停滞の中で「安定」と「変化」の均衡を失っている。与党は高齢層の安定志向に支えられ政権を維持しているが、その支持は積極的な期待というより相対的選択に近い。一方、野党は現実的な代替勢力を形成できず、中道改革連合も「分断を超える現実主義的改革勢力」としての当初の期待に十分応えられていない。
1しかし、その「中心」がどこに位置づけられるかは、各国の歴史や政治文化によって大きく異なる。 2しかし1990年代以降、構造改革と新自由主義が政治の共通言語となるなかで、日本型リベラリズムは「自由競争」や「自己責任」と結びつき、その本来の役割を見失ってきた。 3一方、野党は現実的な代替勢力を形成できず、中道改革連合も「分断を超える現実主義的改革勢力」としての当初の期待に十分応えられていない。 4中道改革連合の支持低迷の主因は、理念と実態の乖離にある。
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