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2020年12月、米国大統領選挙でトランプ前大統領陣営の関係者らが、トランプ氏の元顧問弁護士のルディ・ジュリアーニ氏の主導により、選挙人投票を行う選挙人に入れ替えを画策していたことが、CNNの取材により分かった。
対象となったのは、トランプ氏が敗北した7州の選挙人。トランプ陣営らは、この計画について、これまでで考えられていたよりも、はるかに深く関与していたという。
選挙人の入れ替えは、ジョー・バイデン氏の大統領選勝利を覆そうとするものだ。バイデン氏の勝利は昨年2021年1月6日、連邦議会が選挙人の投票を集計して確定している。
情報筋は、CNNの取材に対し、ジュリアーニ氏とその協力者が州レベルで画策を取り仕切っていたと説明。トランプ陣営の関係者と共和党所属の各州の担当者が何度も電話で連絡を取り合い、そのうちの1回はジュリアーニ氏本人が参加していたという。
また、トランプ陣営が支持者を集めて選挙人に据え、2020年12月14日の各州の州議事堂の会議室を確保して、偽の選挙人らによる会合を行なっていたと語る。
さらに、偽造された証明書も配布。これらの文書は、最終的に米国立公文書館に送付されていた。
入れ替え工作の対象となっていた州は、ペンシルベニア、ジョージア、ミシガン、アリゾナ、ウィスコンシン、ネバダ、ニューメキシコの7州。
そのうち、ミシガン州で選ばれた偽の選挙人の1人は、地元の共和党系団体が開催した最近のイベントで、トランプ陣営が入れ替え工作の全体を指揮していたと明言。
共和党ミシガン州支部の共同代表を務めるミショーン・マドック氏では、先週のイベントで、「我々は、選挙人を枠に据えるために戦った。トランプ陣営がそうするように求めてきた」と述べた。
ミシガン州では、このマドック氏を含む16人のトランプ支持者が偽の選挙人を務め、正当ではない証明書にも署名していた。
ペンシルベニア州とニューメキシコ州が提出した証明書には、該当する選挙人らに関し、選挙結果に異議がるとするトランプ氏の訴訟が成功した場合にのみ選挙人として認めらえるとする但し書きが付いていた。
しかし残りの5州は、該当する選挙人らが正当な選挙人であるとする虚偽の内容を明記。
実際、昨年1月6日の連邦議会で選挙人投票の結果を認証する立場にあった当時のペンス副大統領は、選挙人の入れ替えの可能性を懸念していたという。
ペンス氏らのチームは、ペンス氏が認証手続きで読み上げる名前を実際に口に出し、正当な選挙人のみが認証されていることを確認していた。
そもそもマドック氏はミシガン州の選挙人であっただけでなく、複数のパスを入手して共和党の活動家をワシントンに送り込み、昨年1月6日前後に行われていた抗議デモに加わせていた。同時に起こっていた連邦議会議事堂への侵入にも自らが参加している。
ミシガン州のネッセル司法長官(民主党)はMSNBCのインタビューに対し、トランプ支持の選挙人らが署名した証明書について、州法下では明らかに公文書の偽造や選挙法の違反に当たるという見解を示す。
しかしながら、マドック氏を含め、これまでのところ、いかなる罪でも起訴された人物はいない。
一連の米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会の委員長を務めるベニー・トンプソン下院議員が20日、これら偽の選挙人の選定をめぐり、当時のトランプ政権の広範囲に及ぶ共謀や関与があったのかどうかを検証していると表明。
バイデン大統領も19日の会見で、偽の選挙人を選定していた計画を非難し、21世紀の米国で起きることとは思えないとの認識を示した。