熊本県熊本市西区に位置する慈恵病院は7月21日、独自に導入する「内密出産」において、匿名を望む県外の20代の女性が、6月に出産していたことを公表した。これで3例目の内密出産となる。
内密出産とは、病院の相談室にのみ身元を明かして主産し、子どもが一定の年齢の年齢に達すると、母親の身元を知ることのできる制度。
病院によると、女性は5月に「誰にも知られたくない」とメールで病院に相談を寄せ、6月に仮名のまま出産した1。
その後、女性は、病院の蓮田真琴新生児相談室長だけにマイナンバーカードと運転免許証を提示。コピーは封をして病院が保管し、女性は子どもを特別養子縁組に託す申述書にも署名した。
女性は、今年4月の2例目の内密出産の報道で、慈恵病院を知ったという。熊本市子ども政策課によると、子どもの戸籍作成に向け、市が手続きを進めている。
慈恵病院の蓮田健院長は、
法整備がない中での内密出産だが、母子の安全を確保できた。女性のセーフティーネットとして理解が深まってほしい。
熊本日日新聞、2022年7月21日
と話す。
内密出産は、医療関係者が立ち会わないままで母親が自宅などで出産する「孤立出産」を防ごうと、2019年から導入されている。
なぜ慈恵病院は、内密出産を受け入れたのか?
内密出産とは、予期せず妊娠をした女性が、病院にだけ身元を明かして出産し、あとに子どもが望めば出自を知ることができるという仕組み。
日本では法制化はされていないものの、2019年12月から熊本市の慈恵病院が独自に導入を表明。
慈恵病院が内密出産の仕組みを導入した背景として、女性が1人で子どもを出産する「孤立出産」を回避するためであるという2。内密出産であれば、病院で医療関係者の立ち合いのもとで確実に出産できる。