東京の明治神宮外苑地区の再開発が揉めに揉めている。
フランス・パリに拠点を置く国際記念物遺跡会議(イコモス)は9月7日、文化的な遺産が危機に瀕しているとして、「ヘリテージ・アラート」と呼ばれる緊急声明を発す。
そして事業者に対し、再開発計画の撤回を、東京都に対しては、環境影響評価(アセスメント)の再審を求めた。
これに対し事業者側は9月29日、
「これまで事業者が説明してきた内容と乖離し、イコモス独自の認識で一方的に発信された」
などと反論する文書をウェブサイトで公表。対して、日本イコモスの岡田保良委員長は、
「事業者の反論をこのまま見逃すわけにはいかない。私たちの主張は科学的根拠に基づいたものだ」
と訴えた。
日本イコモス国内委員会によると、神宮外苑の再開発については、これまで10件以上の提言や質問状を公表していきたが、事業者側の代表である三井不動産は一切回答していない。
イコモスが求める対面での質疑についても応じておらず、
「完全に無視されている」(幹部)
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との声が。
現地では、新しいラグビー場の建設地となる神宮第二球場の解体工事が始まった。
ただ9月以降、周辺の樹木が伐採される予定であったが、三井不動産は9月29日、伐採する樹木の本数の削減を盛り込んだアセスメント書の変更届を、年末か年明けに都の審議会に報告する方針。
9月以降に行われる予定だった樹木の伐採は、来年1月以降にずれ込む見通し。三井不動産は削減される樹木の伐採本数は「検討中」とし、2036年の完成を目指す再開発全体のスケジュールへの影響を調査している。
しかしだ。なぜ、神宮外苑の再開発は”強行”されるのだろうか。そもそも、ここ数年のオリンピックの目玉は都市再開発であった。都市再開発のために東京オリパラが開催されたといっても断言してもよい。
開発計画
神宮外苑は、東京都新宿区と港区にまたがる場所。