バイデン大統領、再選に向けてさらなる打撃 「記憶力」問題、浮上 相次ぐ言い間違い 同じ高齢レーガンを目指す?

北アメリカ
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Mohamed HassanによるPixabayからの画像

 11月の米大統領選の再選を目指す81歳のバイデン大統領に関する重要な懸念が再び浮上、打撃を与える。

 バイデン氏の自宅やオフィスから、副大統領だった時期の国家安全保障の機密文書が指摘された問題で、司法長官に任命され捜査を指揮したハー特別検察官は8日、にバイデン大統領を刑事訴追しないと決定。

 ハー検察官は公表された報告書の中で、バイデン氏が捜査に協力し、有罪を立証するのが難しいと判断したため、訴追を見送ったことを説明。その理由を、

「訴追されても、バイデン氏はわれわれの行なった聴取と同様、好意的かつ善意ある、記憶力の悪い高齢者」 

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と、バイデン氏の記憶力の点で懸念を示し、陪審員に悪い印象を与える可能性が高いと指摘。

 報告書ではまた、バイデン氏が副大統領の任期と終了の時期、息子ボー氏の死亡年も覚えていなかったと記す2

 これに対し、バイデン氏は「記憶力に問題はない」と反論し、機密資料を意図的に保持していたという主張に対しても、「完全に誤りである」と述べ、大統領選挙に挑むとした。

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問題は機密持ち出し以外にも 相次ぐ言い間違い 

 米史上最高齢の81歳であるバイデン大統領は以前より健康面での懸念が取り沙汰されていた。

 しかしながら、ここに来て、とくに2月から発言における言い間違いが顕著になり、公の場での不手際のニュースが相次ぎ、世間の懸念を増幅させている。

 2月4日にネバダ州で行われた政治集会での出来事が注目を集めた。バイデン大統領は2021年に開催されたG7サミットでの自身の経験を語るが、フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相(当時)に言及する際に、

「“アメリカが戻ってきた”と私が言ったら、ドイツのミッテランが…いや、フランスだね、私を見てこう言ったんです、何…なぜ…どれくらい続くのかと」

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とマクロン氏とミッテラン(1995年に退任し、翌年逝去)氏とを混同。さらに、その後の非公開での集会で、メルケル前首相を指すべきところを、コール元首相と誤って言及。

 また、別の場所で2月6日にはガザ地区の緊迫した情勢について語ろうとした際、

<バイデン大統領
「少し動きがある。回答が…回答があって…反対側から…」

記者
「ハマスですか?」

バイデン大統領
「そうです。すみません。ハマスからです」>

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とイスラム組織「ハマス」を思い出せずに苦労する。

大統領の健康はトップシークレット

 言い間違いは他にも。アメリカでは政党のイメージカラーについて、共和党人気の高い州を「赤い州」、民主党人気の高い州を「青い州」と呼ぶが、8日に行った演説では、バイデン大統領は、

「この政策を進める時に、私は赤い州・緑の州に関係なく、すべての人の大統領だと言いました」

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と言い間違える。また、

「当初、メキシコのシシ大統領は人道支援物資の搬入のために門を開こうとしなかった…」

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と、エジプトのシシ大統領をメキシコの大統領と言い間違える場面も。

 健康面が不安視されてきたきた大統領はバイデン以外に過去にもいた。第32代のフランクリン・ルーズベルト大統領は、39歳の時にウイルス感染が原因で起こるポリオに罹患したため下半身麻痺となり、 車椅子で執務を行っていた。  

 第35代のジョン・F・ケネディ大統領はアジソン病 (慢性原発性副腎皮質機能低下症)という持病があった。

 そのために、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振および体重減少、低血圧、吐き気、下痢といった 身体症状に加え、抑うつ状態や無気力などの精神症状に悩まされる。

 しかしながら、アメリカでは大統領の健康問題はトップシークレット7。それがアメリカ的伝統という。

同じ高齢レーガンを目指す? 「LBJ」の場合も?

 バイデン大統領は、記憶力を含め、高齢に関するニュースにどう対応するのか。その答えは、40年前にレーガン元大統領が直面した同様の批判を思い起こす。

 1984年の選挙で、レーガン氏は73歳で再選を目指しており、年齢が問題視さたが、

「相手の若さと経験のなさを政治利用するつもりはない」

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という言葉で巧みに対処し、支持を回復して勝利につなげた。

 バイデン氏は、2021年1月に78歳で大統領に就任し、レーガン氏の記録を更新。再選を果たせば、次期任期の終わりには86歳になる。

 しかしながら、バイデン氏の人気が低いのは、年齢だけが理由ではない。経済や移民政策に関する国内の問題も影響する。最近のバイデン支持率悪化に動きはイスラエル情勢とも重なる。

 最悪のモデルケースとなるのは、リンドン・ベインズ・ジョンソン(LBJ)元大統領だ。公民権運動や社会福祉の拡大を推進しましたが、ベトナム戦争への反対運動が原因で、1968年の選挙で再選を目指すことを断念する。

 バイデン氏は、このような過去の失敗を避けたいと考えているだろう。

  1. Andrew Goudsward、Jeff Mason「バイデン氏、機密文書持ち出しで訴追回避 記憶力低下の指摘も」REUTERS、2024年2月9日、https://jp.reuters.com/world/security/QPS375UF6NJ3NKP42AJJF6NJ4Y-2024-02-08/
  2. Andrew Goudsward、Jeff Mason、2024年2月9日
  3. TBS NEWS DIG「相次ぐバイデン大統領の言い間違い G7でミッテラン仏大統領・コール独首相と会談…?」TBSテレビ、2024年2月9日、https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/992230?display=1
  4. TBS NEWS DIG、2024年2月9日
  5. TBS NEWS DIG、2024年2月9日
  6. TBS NEWS DIG、2024年2月9日
  7. マーク・シーゲル「トランプに健康問題はないのか? 大統領の健康はどのみちトップシークレット」ニューズウィーク日本版、2017年1月26日、https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6812_1.php
  8. 日本経済新聞「バイデン氏はレーガン氏になれるか 高齢不安再燃の憂鬱」2024年2月12日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN113EI0R10C24A2000000/
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