Raquel CandiaによるPixabayからの画像
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が、ブラジル・アマゾン地域の玄関口であるベレンで開催。
開催地ベレンは、地球上でももっとも重要な生物多様性を誇るアマゾン熱帯雨林の象徴とされる1。ベレンが選ばれたのは気候変動問題が単なるエネルギーシステムの移行にとどまらず、生態系の不可逆的崩壊という差し迫った脅威であることを、国際社会に認識させる。
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要約
COP30はブラジル・ベレンで開催され、アマゾンの生態系崩壊リスクや化石燃料の「公正な段階的廃止」が議題となった。ブラジル主導のベレン宣言は森林保護や先住民権利を気候政策と統合した新たなガバナンスモデルを提示。一方、日本は石炭依存や脱炭素対策の遅れで批判される。
記事のポイント
- COP30開催地ベレンはアマゾンの生物多様性保全と社会課題の象徴で、環境・治安・インフラ問題の脆弱性が可視化された。
- 国際的議論の焦点は化石燃料の公正な段階的廃止と途上国支援の資金確保で、ベレン宣言は地域ガバナンスと生態系保全の新枠組みを提示。
- 日本の気候政策は石炭火力依存や脱炭素対策の遅れで国際批判を受ける。気候政策における、「グリーン・リスキリング」による社会的能力向上も必要。
Summary
COP30 was held in Belém, Brazil, with discussions focusing on the risk of Amazon ecosystem collapse and the “just phase-out” of fossil fuels. The Brazil-led Belém Declaration proposed a new governance model that integrates forest conservation and indigenous rights into climate policy. Meanwhile, Japan faced criticism for its coal dependence and delayed decarbonization measures.
議論では、従来の温室効果ガス排出削減目標を超え、不可逆的な「ティッピング・ポイント」に対する警告に焦点を当てる。エクセター大学の環境研究者スティーブ・スミス氏ら科学者は、事務局と協力し、ティッピング・ポイントの解決策を確実に検討するための「アクション・アジェンダ」を準備2。
この危機感のもと、気候政策を漸進的改善の次元から破局回避の次元へと根本的に転換させ、各国政府に地球システムの安定性再構築を迫る。
一方で、アマゾンの保全に関する「ベレン宣言」(2025年)といった地域に根ざした具体的成果も生まれたものの、化石燃料の段階的廃止に向けた具体的資金メカニズムの確立では、先進国とグローバルサウスの溝が依然として深い。
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COP30、化石燃料の「公正な段階的廃止」が主要議題に 途上国支援の資金確保も焦点に
今回の議論では、化石燃料の「公正な段階的廃止」を進めるための安定した資金供給と、グローバルサウス諸国の経済・社会的安定をどう確保するかが主要なテーマとなった3。
