Yogendra SinghによるPixabayからの画像
サッカー女子W杯が佳境に入っている。当初、その試合中継さえ危ぶまれていたものの、しかしなでしこジャパンは順当に予選リーグを全勝で突破。決勝トーナメント1回戦でもノルウェーに勝ち、準々決勝進出を決めた。
だが、こういうとき”だからこそ”、サッカーのとくにヘディングにおける脳震盪の危険性について私たちは考えなければならない。
筆者自身がサッカーにおけるヘディングと際の脳震盪の危険性についての文献を初めて目にしたのは、2000年代初頭にさかのぼる。
その当時から、とくにサッカー文化について長い歴史を持つイングランドでは、ヘディングの際の脳震盪の危険性については、選手の間で、もう”古くから”語られていた。
サッカーのヘディングは、まずスポーツの中でも直接頭にボールを当てなければならないという珍しい技術をもつ。
しかしその過程において、脳震盪だけでなく、認知症や慢性頭痛、慢性外傷性脳症(CTE)などの症状が懸念される。
脳だけでなく、ヘディングの際に首をひねることによる頸椎捻挫などの症状も懸念が。
サッカーのヘディングの危険性は、
「イングランドの元プロサッカー選手ジェフ・アストル氏の死はヘディングによるCTEである」
というニュースによりクローズアップされた。このことにより、研究や調査が進んだ。
スポーツの脳震盪としては、よくラグビーやアメリカンフットボールの危険性が挙げられている。
しかしながら、頭に直接ボールを当てたり、アメフトのように防具はなかたり、脳震盪などから選手を守るルールが未整備なサッカーは、脳震盪のリスクがあまり伝えられてこなかった。
一方で、全世界に巨大な市場を持つとともに、レクリエーションスポーツとしても一般市民に広くプレーされるサッカーだからこそ、その”負の影響”は想像以上に広く及ぶ。
Podcast→
サッカー史に残る大事件
サッカーの母国であるイギリスでヘディングによる脳障害が注目されたのは、20年ほど前にさかのぼる。きっかけは、先のジェフ・アストル氏の死だった。