rizsign maulidhaniによるPixabayからの画像
放送倫理・番組向上機構(BPO)は21日、日本テレビ「月曜から夜ふかし」が一般人の発言を恣意的に編集し虚偽内容を放送したとして、放送倫理違反を認定した1。番組では、中国出身女性の発言を「カラスを食べる」と誤解させる編集を行い、SNS上で誹謗中傷を招いた。
要約
放送倫理・番組向上機構(BPO)は、日本テレビ「月曜から夜ふかし」が一般人の発言を恣意的に編集し、虚偽の内容を放送したとして放送倫理違反を認定した。番組では中国出身女性の発言を「カラスを食べる」と誤解させた。
ただ本件は、日本のテレビが依然として内輪的な笑いに依存し、多文化的感性を欠く実態を示すとともに、近年の「コンプライアンス強化」が人権の尊重という公共的倫理よりも経済的リスク回避を目的としている構造的問題も提示する。
記事のポイント
- BPOは「月曜から夜ふかし」が中国出身女性の発言を恣意的に編集し、誤解と誹謗中傷を招いたとして放送倫理違反を認定。
- 近年の「コンプライアンス強化」は人権よりも経済的リスク管理に偏り、現場の倫理判断を弱めている。
- 欧州の放送規制機関Ofcomは、番組ジャンルに関わらず出演者や個人のコメントの編集など不公正な扱いを禁じている。
Summary
The Broadcasting Ethics and Program Improvement Organization (BPO) has ruled that Nippon TV’s “Monday Night Frolick” violated broadcast ethics by deliberately editing and misrepresenting statements made by ordinary people. The program misled viewers into believing that a Chinese woman had said she “eats crow.”
However, this case also reveals how Japanese television continues to rely on insular humor and lacks multicultural sensitivity, while simultaneously highlighting the structural problem that recent “compliance enhancements” are primarily aimed at avoiding economic risks rather than respecting human rights—a public ethical principle.
意見書が指摘した、3月24日放送の女性の発言について
放送されたテレビでは、中国出身の女性が「あんまり中国カラス飛んでいるのがいないですね。みんな食べてるから少ない。とにかく煮込んで食べて終わり」と発言していたが、
実際には女性は、自炊で食べるものを聞かれ、鍋なら「とにかく煮込んで食べて終わり」と答えた。また、女性はカラスがハンガーをくわえた写真を見せたが、カラスを食べる話はしていなかった。
本事案は日本のテレビが依然として国内的な“内輪のノリ”に依存し、多文化的想像力を欠いている実態を象徴する。オチという笑いの装置は、日本語話者の文脈に根ざす文化的前提であり、国際的なインターネット配信を含む視聴環境では誤解や差別的表象を生みやすい。
さらに本件は、近年の、いわゆる「コンプライアンスの強化」の本質が、人権への配慮という公共的利益ではなく、市場の論理に内包されることも示している。
ただ、たとえば欧州の放送規制機関Ofcomは、そもそも番組ジャンルに関わらず出演者や個人のコメントの編集など不公正な扱いを禁じており、街頭インタビューやバラエティー番組でも発言の意図を歪めない編集が求められている。
欧州でも、バラエティーはニュース番組ほど事実の正確性が厳格に求められるわけではないが、著しく不公正的な扱いは「公正性」違反として規制されている。

