女子テニス セリーナ・ウィリアムズが引退を示唆 そのキャリアはまさにアメリカンドリームそのもの 映画「ドリームプラン」も公開され、話題に

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 女子テニスの元世界ランキング1位で、四大大会で通算23勝の成績を残したセリーナ・ウィリアムズ(40)が、自身のSNSで現役の引退の意向を示した。

 Instagramで、

 人生には、違う方向に進む決断をしなければならない時が来る。私はママになることに集中しないといけない。これからの数週間を楽しみにしたい。

(1)

と投稿。アメリカのファッション誌「ヴォーグ」の電子版では、

 テニスを離れ、私にとって重要なものに向かって進んでいきたい。

(2)

とも。

 セリーナ・ウィリアムズは、1999年に全米オープンを17歳で制し、四大大会で初優勝。2017年の全豪オープン優勝後には長女を出産。2020年にはツアー通算73勝目を挙げた。

 1年ぶりとなった今年6月のウィンブルドン大会では初戦で敗れている。フォーブスによると、2021年には女性アスリートの中で2番目に高い4590万ドル(約62億円)の収入を記録1

 これまでのキャリアの中でも、スポーツ賞金獲得額の女性トップの金額9450万ドル(約128億円)以上を記録。2位は、姉のヴィーナス・ウィリアムズで4220万ドル(約57億円)だった。

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生い立ちはまさに「アメリカン・ドリーム」そのもの 人種差別との闘いも 

 治安の悪さでも全米屈指と有名なカリフォルニア州のコンプトンの出身。白人ばかりのテニス選手の中に突如として現れたのが、ビーナス、セリーナの姉妹だった。

 だが、そのケタ外れのパワーで他の選手を文字通り圧倒する姿に、当初、露骨に嫌悪感を抱く選手も少なくなかった2

 差別的言動も日常茶飯事に受ける。コートチェンジのとき、セリーナにわざとぶつかる白人選手もいた3

 あまりも悪質な観客の態度に対し、セリーナは白人住民が大半のインディアンウェルズで行われるBNPバリバ・オープンでは出場の“義務“があるのにも関わらず、13年間、欠場を余儀なくされる。

 ときに、感情をむき出しにし、物議を醸すことも。大坂なおみに敗北した2018年の全米オープンの決勝では、判定に対して怒りを爆発。

 一方、

 ウィリアムズ姉妹は先駆者。いろんな問題と戦い、壁を打ち壊してくれた。セリーナがいたからこそ今がある。

4

と大坂が敬意を示すように、セリーナの登場以降、黒人選手は目に見えて増えいった。ジュニア部門を見ると、さらに目立つ。

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これからはビジネスの場へシフト すでに成功? ビジネスでも多様性を尊重 パートナーは「Reddit」創業者


 彼女の引退は、「肉体の限界」というよりも、2014年に立ち上げた事業の方が純粋に“楽しい“からでもあるだろう。

 セリーナは2014年に自らのベンチャー・キャピタル「セリーナ・ベンチャーズ」を立ち上げ、2019年4月に正式に公開した。

 この会社を通じ、彼女は2019年時点で過去34社のスタートアップ事業に投資している5。その時点で彼女の資産のおよそ250億円の大半はビジネスによりもたらされたもの。

 セリーナ・ベンチャーズは女性と有色人種によって創業。だが、いまだアメリカでも女性がリーダーのスタートアップへの投資は2.3%ほど(2019年時点)。黒人やヒスパニック系の創業者ともなると、その割合はさらに低くなる。

 セリーナは、これまでの投資金額の60%は女性や有色人種が率いる企業に投資されている。彼女を支えるメンターは強力だ。

 Facebook(メタ)のCCOらが名を連ねるが、何より彼女のパートナーはソーシャルブックマークサイトの「レディット(Reddit)」の創業者でもあるアレクシス・オハニアン。

 アメリカでもプロスポーツ選手の「セカンド・キャリア」は大きな課題となっている。今でも、たとえばNFLの選手の7割が引退後、わずか2年で破産状態に陥っているという。その点についても、セリーナはお手本となっている。

ウィリアムズ姉妹の父をモデルにした「ドリームプラン」でウィル・スミスが主演男優賞を受賞 ビンタ騒動も、栄光の証か


 ウィリアムズ姉妹にとって、今年は「良くも悪くも」忘れられない年になったはずだ。アカデミー賞には、姉妹揃って出席。そこで歴史的な事件が起きてしまう。ウィル・スミスのビンタ騒動だ。

 ウィル・スミスは「ドリームプラン」で、のちに世界最強となるテニスプレーヤー姉妹となる実の父を演じ、初のオスカーに輝くも、前後してクリス・ロックにビンタをし、今後10年間、アカデミー賞授賞式の”出入り禁止”を言い渡された。

 騒動はあったが、肝心の映画も興味深いもの。父親は、姉妹が生まれる前にテレビで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、これを真似ようとする。

 テニス未経験にもかかわらず、独学でテニスの教育法を研究、78ページにもおよぶ計画書(ドリームプラン)を実行。

 コンプトンもまさにギャングがはびこる地域。その場所で、姉妹をプロテニスプレーヤに育てる。

 アカデミー賞では、そのコートから歌唱するビヨンセの姿も話題に。

 ビヨンセは、

It feels so good to be alive
生きていることはとても気持ちがいい

Got all my family by my side
家族がみんなそばにいる

Couldn’t wipe this black off if I tried
頑張ってもこの黒さは拭えない

That’s why I lift my head with pride
だからこそ、あたしは誇りを持って頭を上げる

6

と歌い上げた。

  1. https://www.forbes.com/sites/brettknight/2022/01/13/the-highest-paid-female-athletes-score-a-record-167-million/?sh=4ee7f34778cc
  2. 原真子「テニス界変えたセリーナ 引退表明 差別バネ、どんどん強く/垣根越え全米魅了」日本経済新聞、2022年8月14日、https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63421830T10C22A8UU1000/
  3. 原真子、2022年8月14日
  4. 原真子、2022年8月14日
  5. https://forbesjapan.com/articles/detail/29699
  6. https://song-lyrics.net/entry/Be_Alive_Beyonc%C3%A9#gsc.tab=0
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