本来若手や無名の監督がつくった作品のがいきなりシネコンに上映されることは難しい。従来、それらの監督の映画を上映することが多かったのはミニシアター劇場であったが、しかし、コロナ渦のもう数年前から、そのミニシアター劇場が地方・都内各地を問わず閉館に追い込まれている。
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目次
- シネコン全盛で苦境に追い込まれるミニシアター
- 少ない日本人の女性監督
シネコン全盛で苦境に追い込まれるミニシアター
ここ数年、ミニシアター劇場が数多く閉館に追い込まれている。東京都内では、シネセゾン渋谷、シネマ・アンジェリカ、吉祥寺バウスシアター、銀座シネパトス、銀座テアトルシネマなどが挙げられる。
その原因としては、郊外への出店で成功を収めてきたシネコンが都心部にも進出してきたこと、上映方式が従来のフィルムからデジタルに移行していくなかで資金的に追い込まれたことなどがよくいわれている。
だが、もっと大きな要因があるという。それは日本の映画ファンの変化だ。とくに有名俳優がでていないアート系作品に関心を寄せるマニアックな映画ファンの数自体が少なくなってしまったのだ。
「ヴィデオドローム」「ゆきゆきて、神軍」などのカルト的作品を数多く制作し、現在でも営業を続けている渋谷のミニシアター劇場であるユーロスペースの支配人である北條誠人氏は、月刊誌「創」の2013年7月号で、このようなことを語っている。
学生の来場者は明らかに減ってます。
美大生がミニシアターを支えているというのは誤解で、以前なら渋谷周辺の青山学院や国学院、さらに早稲田、東大といった学生が学割で映画を見るために学生証を提示したものですが、今の客層は完全に中高年にシフトしています。
1996年頃までは何を上映して入る、と感じていましたが、2000年辺りから完璧に落ち始めたのを肌で感じました.