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要約
阪神・淡路大震災(1995年1月17日)は、日本の防災対策の転換点となり、建築基準法の改正や耐震基準の強化、震度計の導入、ボランティア活動の活発化などを促した。また、活断層調査が進み、地震想定の見直しが行われた。
震災の影響は国際金融市場にも及び、日経平均株価が急落。これにより、ベアリングス銀行のトレーダー、ニック・リーソンの不正取引が巨額の損失を生み、銀行破綻につながった。
さらに、新たな研究では、有馬温泉の地下水の増加が震災の引き金となった可能性が示唆され、地震発生メカニズムの解明や防災対策への新たな視点をもたらしている。
記事のポイント
・阪神・淡路大震災(1995年)による甚大な被害を契機に、日本の防災対策が大きく転換し、建築基準の強化や活断層調査の推進が進められた。
・震災の影響は金融市場にも波及し、日経平均が急落、さらにベアリングス銀行が不正取引の損失拡大により破綻した。
・最新の研究では、有馬温泉の地下洪水が地震を引き起こした可能性が示唆され、地震予知や防災対策に新たな視点をもたらしている。
1月17日、阪神大震災から30年が経過した。この震災で、日本の防災対策は大きな転換点を迎える。
震災は、1995年1月17日午前5時46分に発生し、神戸市を中心に甚大な被害をもたらす。被害は、死者6,434名、負傷者43,792名、住家全壊約10万5,000棟、半壊約14万4,000棟という大規模なものとなった1。
震災後、日本の防災対策は大きく変化。建築基準法の改正がなされ、耐震基準が強化され、建物の安全性が向上。全国に計測震度計が設置され、地震の早期検知システムが構築された2。
また、この年は「ボランティア元年」とも呼ばれる。地震を機に災害ボランティア活動の促進がなされ、NPO法人制度が創設されるとともに、市民による支援活動が活発化3。さらに地震対策が強化され、自助・共助・公助の重要性が認識されるとともに4、防災教育の充実が図られ、学校や地域での防災訓練や教育が強化される。
震災の混乱は世界へと波及。イギリスの名門銀行で、233年の歴史を持ち、女王陛下の銀行とも呼ばれたベアリングス銀行の破綻につながる一連の出来事の引き金ともなった。
直接的な要因ではないものの、破綻は、金融機関におけるリスク管理の重要性と、グローバル化が進む金融市場での適切な監督体制の必要性を浮き彫りにする。
被害状況
人的被害
死者:6,434名
行方不明者:3名
負傷者:43,792名
建物被害
全壊:104,906棟
半壊:144,274棟
一部損壊:390,506棟
全半壊合計:249,180棟(約46万世帯)
火災被害
全焼:7,036棟
焼損棟数:7,574棟
罹災世帯:8,969世帯
同時多発火災:約290件
インフラ被害
道路:7,245箇所
橋梁:330箇所
河川:774箇所
崖崩れ:347箇所
断水:130万世帯
停電:260万戸
ガス停止:86万世帯
電話不通:30万回線
避難状況
避難者数(ピーク時):316,678人
避難所数(ピーク時):1,239カ所
経済的被害
被害総額は約10兆円規模と推定。