Alexander KrivitskiyによるPixabayからの画像
現代日本に広がる「不安」の正体を、社会心理学の視点から分析しようと試みている。出発点は興味深く、「なぜ安心感が失われたのか」という問いは興味深い。
しかし、読了後に残るのは、「空気」や「情緒」に頼る日本社会を情緒的に語ってしまうという、まさに本書が批判する構造の反復である。制度やシステムの分析は浅く、科学的根拠に基づいた社会設計という視点は乏しい。たとえば、不安を煽るメディアの構造や、行政のリスクコミュニケーション戦略などには踏み込まない。
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日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点
「偽装国家・日本」を心理学者が鋭く分析!日本人は「人を見たら泥棒と思え」と考え、アメリカ人は「渡る世間に鬼はなし」と思って生きている!? 心と文化をめぐる常識を次々と覆していくラジカルな日本社会論、ついに登場!!