要約
野球WBC開幕を前に、野球界は大きな転換点を迎えている。気候変動による夏の酷暑、そして過密日程が引き起こす人気低下や選手保護の問題が主な課題として挙がっている。
一方、野球は今、アジアや中南米だけでなく、ヨーロッパやアフリカなどでも広がりを見せている。これらの地域では、移民選手が活躍したり、用具が不要な「ベースボール5」のような簡易的な競技が普及のきっかけになったりするなど、各地域の文化や気候に応じた独自のスタイルが生まれている。
記事のポイント
- 野球はヨーロッパやアフリカなどにも広がり、各地域の文化や気候に応じた新たなスタイルが生まれている。
- 酷暑による選手や観客のリスクが増加し、ナイトゲームの導入やシーズン時期の見直しなど、抜本的な改革が求められている。
- MLBの162試合制が選手の怪我や試合の価値低下を招く一方、他国のリーグでは試合数削減により、選手保護と人気維持の両立を図る動きが広がっている。
Summary
As the World Baseball Classic (WBC) approaches, the baseball world is facing a major turning point. The main challenges include the extreme summer heat caused by climate change and issues such as declining popularity and player protection resulting from an overly packed schedule.
Meanwhile, baseball is now expanding not only in Asia and Latin America but also in Europe and Africa. In these regions, immigrant players are making their mark, and simplified versions of the game like “Baseball 5,” which doesn’t require equipment, are helping to popularize the sport. Each region is developing its own unique style tailored to its culture and climate.
Translated at DeepL
来年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)開幕を前に、現在、野球は大きな転換点を迎えている。
かつて北米を中心に発展した野球は、近年ではアジアや中南米にとどまらず、ヨーロッパ、アフリカ、中東へと広がりつつある。そして各地域の文化や気候を背景に、従来とは異なるスタイルが根付き始め、新たなスポーツ文化を形作ろうとしている。
同時に、夏の酷暑対策も避けて通れない課題だ。メジャーリーグでは真夏のデーゲームが選手の体力を削り、日本では「真夏の甲子園」が暑さとの戦いの象徴とされる。
一方、海外ではドーム球場の活用やシーズン時期の調整などが進み、体調管理にとどまらず、安全性と競技性をどう両立させるかという国際的な議論が求められている。
さらに野球における試合数の問題も議題となっている。MLBの162試合制は伝統として守られてきたが、選手の怪我や試合の魅力の低下(マンネリ化)といった弊害が顕在化している。
日本の143試合制も同様の課題を抱える一方、台湾やメキシコではあえて近年、試合数を減らすことで「希少性」を高め、人気を維持する試みが行われている。
ただし、リーグの収益構造、あるいは打率や盗塁といった各種の記録の問題との調整も含め、単純に試合数を削ればよいわけではない。野球の未来には、複雑で総合的な改革が求められている。
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野球、欧州・アフリカで新たな息吹 国際化の鍵は移民選手と簡易競技「ベースボール5」
21世紀に入り、野球はヨーロッパや中東、アフリカなど、これまでなじみの薄かった地域にも着実に浸透し始めている。
ヨーロッパでは現在40か国が欧州野球連盟に加盟しており、2010年にはイタリアでプロ野球リーグが発足するなど、競技基盤の整備が進んでいる。
ただし、各国の代表チームを詳しく見ると、純粋な欧州出身選手のみで構成されているわけではなく、中南米からの移民や亡命者が主力を担っている点が特徴的だ。
一方、アフリカにおける野球の定着は発展途上。南アフリカ共和国では、19世紀末に金鉱採掘に訪れた米国人によって野球が伝えられて以来、一定の競技人口を維持しており、WBCにもアフリカ唯一の参加国として名を連ねた実績もある。
しかし、南アフリカ以外の国々でも近年ではウガンダ、ジンバブエ、ブルキナファソなどで日本人指導者による普及活動が展開され、国際大会予選に挑戦する国も徐々に増えているが、競技規模はまだ小さい1。
国際的な野球の普及を阻む主な要因は、用具の高コスト、施設の不足、そしてサッカーの圧倒的な人気である。こうした課題に対して、アフリカでは「ベースボール5」という道具を必要としない簡易競技が導入され、子どもたちに野球の入り口を提供する取り組みも進められている。
野球が盛んな国・地域
- 日本:プロ野球リーグ「NPB」があり、国民的な人気を誇るスポーツ。
- アメリカ:野球の発祥地であり、世界最高峰のプロ野球リーグ「MLB」が存在。
- ドミニカ共和国:野球が非常に人気があり、多くの選手がMLBで活躍している。
- キューバ:野球は国技として親しまれており、高い実力を持つ。
- 韓国:プロ野球リーグ「KBO」があり、非常に人気がある。
- メキシコ:プロ野球リーグやメジャーリーグへの選手供給が盛ん。
- ベネズエラ:多くの優秀な選手をMLBに輩出。
- 台湾(チャイニーズ・タイペイ):プロ野球リーグがあり、野球熱が高い。