guillermo gavillaによるPixabayからの画像
要約
映画『国宝』は公開直後からSNSで熱狂的に称賛されたが、その称賛一色の空気は批評文化の未成熟さや異論を表明しにくい日本の風土を映し出した。
作品は歌舞伎界の血筋主義や閉鎖的な継承構造を描いているが、しかし主演・吉沢亮は約1年半の過酷な役作りで心身を追い詰められ、泥酔トラブルを起こしていることにも、メディアは無関心だ。
また日本の伝統芸能や芸能界は「一芸に秀でる」文化が卓越性を高める一方、多様性や外部との交流を阻害。さらに俳優のメンタルケア体制も未整備。海外では役作り段階からのカウンセリングや安全管理が普及しており、日本にも同様の支援が求められる。
記事のポイント
・映画『国宝』はSNSで絶賛された一方、批判や異論が出にくい日本の批評文化の未成熟さを浮き彫りにした。
・作品が描いているように、日本の伝統芸能の血筋主義や「一芸に秀でる」文化は創造性や多様性を阻み、閉鎖性を強めている。
・主演・吉沢亮の過酷な役作りは心身に大きな負荷を与えた。同様のこと海外でも一般化しており、俳優のメンタルケア体制の欠如も示した。
Summary
The film ‘National Treasure’ received enthusiastic praise on social media immediately after its release, but this overwhelmingly positive atmosphere reflected the immaturity of Japan’s critical culture and its climate where expressing dissent is difficult.
While the work depicts the bloodline-based hierarchy and closed succession structure within the Kabuki world, the media remains indifferent to the fact that lead actor Ryo Yoshizawa, driven to the brink physically and mentally by over a year and a half of grueling preparation for the role, caused a drunken disturbance.
Furthermore, Japan’s traditional performing arts and entertainment industry, while valuing excellence through “mastering a single art,” simultaneously stifles diversity and external exchange. Mental health support systems for actors remain inadequate. Overseas, counseling and safety management during the character development phase are commonplace, and Japan urgently needs to implement similar support systems.
Translated at DeepL
映画『国宝』は、2025年6月の公開直後からSNSを中心に絶賛の声が相次ぎ、主演・吉沢亮に対して「素晴らしい」「圧巻」「吉沢亮の代表作」など、美辞麗句があふれ返った。だが、その熱狂的な称賛の一方で、「本当にそこまでの出来だったのか?」と疑問を抱く声も少なくない。
ただこのような“絶賛一色”の現象は、日本の映画界や芸能界における批評文化の未成熟さ表している。他者と異なる視点や批判的な意見を表明することがためらわれ、「批判=アンチ」という短絡的な構図に押し込められがちな日本の口コミ社会では、作品に対する違和感すら公にしづらい。
さらに本作は、歌舞伎界に根強く残る“血筋主義”や、言語化されない芸の継承=暗黙知という閉鎖的な構造を描いた物語でもある。そのような作品は、ときに役者に対し、強烈なプレッシャーを与える。主演の吉沢亮も、そうした圧力のなかで前例のない過酷な稽古に身を投じた結果、心身のバランスを崩すまでに追い詰められていたという。
2024年12月30日、吉沢は泥酔状態で隣室に無断侵入し、住居侵入の容疑で書類送検された。本人は「自室と間違えた」と説明し、当時の記憶がなかったとされる。その後、禁酒を決意し生活の見直しを図る中で、しかし吉沢の役作りによる精神的重圧が背景にあったのではないか、との指摘もなされている。
SNSの熱狂が批評をかき消す 『国宝』現象に見る日本の未熟な議論の形
映画『国宝』は、6月の公開直後からSNSを中心に爆発的な称賛を集めたのは事実であるが、しかし、こうした称賛の波は、作品の出来そのものを正当に評価する批評的視点をかき消すような“絶賛一色”の空気をも生み出していた。「本当にそこまで素晴らしいのか?」という率直な疑問すら表明しづらい、閉じられた言論環境が形成していたともいえる。
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