12月1日は世界エイズデー HIV対策の現在地 治療は進んだ、社会は追いついたか 沖縄で多発する『いきなりエイズ』コンドームを拒むフランスの『男らしさ』 

医療
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 HIVがどのように人類社会へ浸透し、世界的なパンデミックへと至ったのかを理解することは、HIVについての今日まで続く偏見や誤解の背景を知るうえでも不可欠だ。

 最新の分子系統学的研究によれば、HIVの起源は20世紀初頭のアフリカ・コンゴ盆地に遡るこという1(3)。カメルーン南部のチンパンジーが保有していたSIVcpz(サル免疫不全ウイルス)が、ブッシュミートの解体や摂取の過程で人間に感染し、変異を重ねてHIVとなったと考えられている2。なかでも1920年頃にキンシャサへ到達した「HIV-1グループM」が、世界的流行の主因となったという研究もある3

 HIVのパンデミックの拡大には、植民地化と都市化による人の移動の活発化、森林伐採や都市流入に伴う社会構造の変化、さらに不衛生な注射器の使い回しといった当時の医療環境が複合的に作用していた。

 ウイルスは1960年代にハイチ人労働者を通じてカリブ海地域へ広がり、1970年頃にはアメリカに到達したと推測されている4(6)。しかし1981年にエイズが公に認識された際、当初は「同性愛者の稀な病」として扱われ、同性愛嫌悪と政治的な沈黙を招く5

 とくに当時のレーガン政権は約6年間、公の場でエイズへの言及を避け、エイズへの研究や啓発への対応は大きく遅れた6。その背景には、宗教保守層への配慮や道徳的偏見があったとされ、結果、多くの命が失われる。

1HIVがどのように人類社会へ浸透し、世界的なパンデミックへと至ったのかを理解することは、HIVについての今日まで続く偏見や誤解の背景を知るうえでも不可欠だ。 2とくに当時のレーガン政権は約6年間、公の場でエイズへの言及を避け、エイズへの研究や啓発への対応は大きく遅れた 3改善できることがあるとしたら、検査の受けやすさを高める施策と、心理的障壁を下げる社会的取り組みを同時に進める必要がある。 4匿名性を重視した検査体制の拡充や、夜間・休日対応の検査拠点の整備は有効だ。

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  1. NUNO R. FARIA, ANDREW RAMBAUT, MARC A. SUCHARD, GUY BAELE, TREVOR BEDFORD, MELISSA J. WARD, ANDREW J. TATEM, JOÃO D. SOUSA, NIMALAN ARINAMINPATHY, […] , AND PHILIPPE LEMEY+4 authors . The early spread and epidemic ignition of HIV-1 in human populations. (2025). Retrieved 20 December 2025, from https://www.science.org/doi/10.1126/science.1256739
  2. BRANDON F. KEELE, FRAN VAN HEUVERSWYN, YINGYING LI, ELIZABETH BAILES, JUN TAKEHISA, MARIO L. SANTIAGO, FREDERIC BIBOLLET-RUCHE, YALU CHEN, LOUISE V. WAIN, […] , AND BEATRICE H. HAHN+9 authors . Chimpanzee Reservoirs of Pandemic and Nonpandemic HIV-1. (2025). Retrieved 20 December 2025, from https://www.science.org/doi/10.1126/science.1126531
  3. Direct evidence of extensive diversity of HIV-1 in Kinshasa by 1960. (2025). Retrieved 20 December 2025, from https://www.nature.com/articles/nature07390
  4. M. Thomas P. Gilbert, Andrew Rambaut, Gabriela Wlasiuk, +2 , and Michael Worobey worobey@email.arizona.edu. The emergence of HIV/AIDS in the Americas and beyond. (2025). Retrieved 20 December 2025, from https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.0705329104
  5. Pneumocystis Pneumonia — Los Angeles. (2025). Retrieved 20 December 2025, from https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/june_5.htm
  6. Shilts, Randy. (1987). And the Band Played On: Politics, People, and the AIDS Epidemic. St. Martin’s Press.
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