安全なセックスは「弱さ」なのか フランス社会が直面する逆風
近年、フランスでは若年層のコンドーム使用率が低下し、それに伴ってHIV感染率が再び上昇傾向にあるという指摘もある1。これは、長年積み重ねられてきた性教育や公衆衛生政策の成果が揺らぎつつあることを示す兆候である。
こうした現象を後押ししているのが、SNSインフルエンサーを通じて拡散するマチズモ(男性優位主義)的価値観であるという2。彼らは支配的で恐れを知らない男性像を理想化し、コンドームの使用を「臆病さ」や「弱さ」と結びつける言説を繰り返してきた3。このようなメッセージはとくに若年層に強く作用し、予防的行動を「愛情の妨げ」と誤解させることで、女性への配慮や合意形成の意識を後景に追いやっている。
歪んだ認識を是正するには、知識の伝達にとどまらず、たとえば文化的価値の再構築が不可欠であるという指摘も。たとえば、ドラマや映画において避妊具の使用を自然な行為として描くことは、安全なセックスを「冷めた態度」ではなく「相互尊重の表現」として定着させる効果を持つ。
実際、フランスの一部映像作品では、こうした演出が視聴者の意識に変化をもたらし始めている。また、若い男性インフルエンサーが「避妊は思いやりである」と発信することで、マチズモ的言説を相対化し、たとえば「責任ある男らしさ」というような新たな価値を提示することも可能となるだろう。
1HIVがどのように人類社会へ浸透し、世界的なパンデミックへと至ったのかを理解することは、HIVについての今日まで続く偏見や誤解の背景を知るうえでも不可欠だ。 2とくに当時のレーガン政権は約6年間、公の場でエイズへの言及を避け、エイズへの研究や啓発への対応は大きく遅れた 3改善できることがあるとしたら、検査の受けやすさを高める施策と、心理的障壁を下げる社会的取り組みを同時に進める必要がある。 4匿名性を重視した検査体制の拡充や、夜間・休日対応の検査拠点の整備は有効だ。
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- Article – Bulletin épidémiologique hebdomadaire. (2025). Retrieved 21 December 2025, from https://beh.santepubliquefrance.fr/beh/2025/19-20/2025_19-20_3.html
- ホーム. (2025). Retrieved 21 December 2025, from https://newsphere.jp/national/20251218-1/
- QUAND LE MASCULINISME INTOXIQUE LA SEXUALITÉ DES JEUNES. (2025). Retrieved 21 December 2025, from https://www.sidaction.org/actualite/quand-le-masculinisme-intoxique-la-sexualite-des-jeunes/

