ダボス会議閉幕 ダボス会議とは? 世界の政財会のリーダーたちが集結 「ダボスマン」との批判も

Nici KeilによるPixabayからの画像

 今年の世界経済フォーラムの年次総会(通称「ダボス会議」)が16日からスイスで開かれ、世界の政財会のリーダーなどおよそ2700人が集まり、「分断された世界における協力の姿」1をテーマに多くの議論が交わされた。

  会議ではロシアによるウクライナ侵攻や、気候変動対策など、世界が直面する課題に協調して取り組むべきだという提言も相次いだ。会議は、20日に閉幕した。

  20日には、日銀の黒田総裁を含む世界の中央銀行のトップが出席し、世界経済の見通しについてのセッションが開かれた。この中でヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁は、

 「中国の『ゼロコロナ』政策の転換などで世界経済は懸念していたよりよくなるが、その分、エネルギーの消費量が増えることでインフレ圧力は強まる」

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とし、物価の上昇が今後も続くであろうとの見方を示す。

  ダボス会議とは、スイスの非営利財団である世界経済フォーラムが毎年、スイスの保養地であるダボスで開く年次総会の通称。正式名称は、「世界経済フォーラム年次総会World Economic Forum Annual Meeting」。

  世界のさまざまな分野や立場のリーダーが食事や休憩時間を含めて意見交換し、その時々の世界経済などの重要な議題を世界へ向けて発信する場となっている。

歴史

 ダボス会議を主催する世界経済フォーラムは、クラウス・シュワブ氏が1971年に創設した。当初の名称は「ヨーロッパ経営フォーラム」。当時は、

「経営者は、株主や顧客だけでなく、従業員や地域社会などすべての利害関係者に配慮しなくてはならない」

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 という理念を掲げていたが、1973年に転換点を迎える。

  ブレトンウッズ協定の基づく固定相場制の終焉と第4次中東戦争の開始を受け、会議のテーマが「経営」から「経済および社会の諸問題」へと拡大。

  1971年1月には、初めて政治指導者を会議に招く。そして1987年に「世界経済フォーラム」へと名称を変更。

 2015年には、国際機関として正式に認定され、官民が連携してその時々の世界の諸問題をについて議論、提言してきた。

  ダボス会議は、いくつもの「歴史の転換点」の場とも。1988年には、関係が急速に悪化していたギリシャとトルコの首相が会談し、国家間の戦争の可能性が回避される。

 1989年には北朝鮮と監督とがダボスで初めての閣僚級の会合を開催。翌1990年には、東ドイツのハンス・モドロウ首相と西ドイツのヘルムート・コール首相が東西ドイツの統一について会談した。

なぜ注目される?

 
  ダボス会議がこれほど注目される背景には、そのメンバーの顔ぶれにある。ダボスには、ひとことでいうと世界最高峰のリーダーたちが集結。企業のトップ、政治家、そして学者など、その分野のトップたちが一堂に集まる。

  会議には、世界の100以上の国・地域から招待された経営者、国家元首、政治家、学者、ジャーナリスト、労働組合幹部、宗教指導者、非政府組織(NGO)代表ら2000~3000人が参加4

  世界のさまざまな分野や立場のリーダーが食事や休憩時間を含めて意見交換。運営費は1000を超える企業の年会費や参加費のほか、スポンサー企業の協賛金でまかなわれる。

  今年は、ドイツのショルツ首相やEU(ヨーロッパ連合)のフォンデアライエン委員長をはじめ50人あまりの国家元首および政府代表、それに民間企業の経営トップなど130の国と地域からおよそ2700人が参加5

  また、国際経済や金融について鋭い洞察を示してきたアメリカの元財務長官サマーズ氏や、著名な歴史家ファーガソン氏、ニクソン元大統領の訪中・訪ソを実現し、フォード政権で国務長官を務めたキッシンジャー氏も99歳と高齢ながらオンラインで参加した6

批判も 「ダボスマン」と揶揄

 

 そのようなダボス会議ではあるが、批判も。会議の当初の趣旨とは外れ、結局は商談の場などにしているという理由から、一部の専門家は同会議を「金持ちビジネスマンのクラブ」と揶揄。

  また、グローバリゼーションを助長し、貧困や環境破壊の悪化を引き起こしているという批判も7

  「ダボスマン」という言葉がある。2004年に政治学者のサミュエル・ハンティントンにより編み出された。この用語が示すのは、

 「国境を超えて流通する利益と富を手中にし、世界中で不動産やヨットなどを所有する。お抱えのロビイストと会計士たちを国内の法制度に縛られないように活動させ、特定の国家への忠誠心など持たなくなった者たち」

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 のこと。

  19日、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(20)は、ダボスを訪れ、会議に参加している各国指導者や大企業幹部が、

 「自分たちや企業の強欲、目先の経済的な利益を、一般大衆や地球(環境)より優先させている」

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 と訴えた。

  1. NHK NEWS WEB「「ダボス会議」 インフレの世界経済への影響を議論し閉幕」2023年1月21日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230121/k10013956101000.html 
  2. NHK NEWS WEB、2023年1月21日
  3. 小田島 拓也・田村 銀河「「ダボス会議」って? 世界のリーダーが結集するすごい会議」NHK 国際ニュースナビ、2023年1月17日、https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/01/17/28648.html  
  4. 日本大百科全書(ニッポニカ)「ダボス会議」
  5. 小田島 拓也・田村 銀河、2023年1月17日 
  6. 小田島 拓也・田村 銀河、2023年1月17日 
  7. swissinfo.ch「ダボス会議って?10の疑問に答えます」2017年1月17日 
  8. ピーター・S・グッドマン「世界をダメにしているのは英雄気取りの大富豪である…「コロナ禍」に乗じて暴利をむさぼるダボスマンの正体」PRFSIDENT Online、2022年7月20日、https://president.jp/articles/-/59584
  9. 共同通信「大企業や各国指導者の強欲批判 環境活動家グレタさん、ダボスで」Yahoo!ニュース、2023年1月20日、https://news.yahoo.co.jp/articles/6cf4fd646e5d1d03eb0d7a74325a2c710045a138