河井克行元法相(60)が公選法違反罪で実刑となった2019年の参院選広島選挙区でおきた買収事件で、東京地検特捜部の検事が、元法相から現金を受領した被買収側として任意聴取した元広島市議に対し、不起訴を示唆したうえで、現金は買収目的だったと認めさせるかのようなやりとりが、録音データに残っていたことが21日、分かった。
最高検は録音の内容をすでに把握1。元法相の立件のために、自らに有利な供述を誘導した疑いがあり、今後、問題がなかったかどうか調査するという。
元市議の弁護人である田上剛弁護士が21日、広島市内で記者会見し、
検事が、
「全面的に認めて、反省していることを出してもらい、不起訴であったり、なるべく軽い処分というふうにしたい」
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と発言し、利益誘導を示唆したと明らかに。
もともと、河井克行元法相の公選法違反事件をめぐっては、元法相の立件”ありき”で捜査が進められた。
そのために現金を受領した地元議員らの供述が重視され、検察が自らに有利な証拠を引き出すために不起訴にするとの「裏取引」があったと、たびたび取り沙汰された3。
このような検察の捜査手法は、以前あった大阪地検の証拠改ざんを機に改められたとされるが、今回浮上した検事の利益誘導疑惑の背景には、今でも残る”供述依存”の体質が残るとの見方が根強い。
ある検察幹部は西日本新聞の取材に対し、近年の捜査ではスマートフォンやパソコンの解析など客観的な証拠が重要だとし、
「供述にはこだわらない流れが定着している」
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と話す。
しかしながら、元法相の事件の捜査にかかわったある関係者は、
「特捜部では供述を取れないと駄目だという、組織として醸成されてきた文化が残っている」
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と指摘する。
袴田事件
日本の検察の”非近代性”は、たとえば袴田事件の結果としてすでにあらわれている。袴田事件は1966年6月30日午前2時、静岡県清水(現在の静岡市清水区)で発生。