【有料記事】「サッカーか、フットボールか」―トランプ氏発言が揺らす米国スポーツ文化の深層 ”飲み込まれる”のはどちらか? 米国資本が変える世界のサッカーと「フットボール」の未来

サッカー
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 背景にあるのが、米国資本の急速な流入である。現在では20クラブ中の過半数が米国系オーナーの影響下にあり1、リーグは長期的な投資対象、すなわちポートフォリオとして捉えられつつある。

 この米国型スポーツビジネスの発想は、サッカーのルールそのものよりも、試合の運営方法や時間管理、演出の設計に影響を与えてきた。象徴的なのが給水タイムの定着である。酷暑対策として導入された措置だが、実際には戦術確認や放送上の区切りとしても機能し、試合を管理可能なコンテンツとして扱う思想と親和的であった。

 VAR導入後の中断時間の扱い、試合開始時刻の細分化、演出強化なども、放映価値を最大化する米国的思考の延長線上にあるという指摘もあった2

 こうした動きは、昇降格のないクローズド・リーグを前提とするフランチャイズ経営の思想とも結びつく。米国資本が考えそうな、収益の安定を優先するあまり、競技の偶発性や緊張感の低下が進めば、サッカー文化そのものも変質しかねない。選手給与比率制限(SCR)や支出上限をめぐる議論3も、経営の持続可能性や競争原理の新たな対立を象徴している。

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英国ラグビービジネスの反省から生まれたIFR(独立規制当局) サッカーにおける「第三の道」で生き残りはなるか?

 一方、英国ラグビー界は、かつてプロ化の成功例として称賛され、地域社会と商業スポーツの融合を体現してきた。しかし現在、その栄光の陰で構造的な疲弊が深刻化している。2022年から2023年にかけて名門クラブが相次いで破綻した事実4は、個別の経営失敗にとどまらず、リーグ全体の制度的脆弱性を浮き彫りにした。

1イングランド・プレミアリーグは、豊かな歴史と国際的ブランド力を背景に、世界で最も商業的に成功したサッカーリーグへと成長してきた。 2しかし現在、その栄光の陰で構造的な疲弊が深刻化している。 32022年から2023年にかけて名門クラブが相次いで破綻した事実は、個別の経営失敗にとどまらず、リーグ全体の制度的脆弱性を浮き彫りにした。

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  1. Mark Ogden. From Liverpool to Wrexham, are U.S. owners taking over English football?. (2025). Retrieved 24 December 2025, from https://www.espn.com/soccer/story/_/id/46313332/wrexham-ryan-reynolds-rob-mac-fsg-liverpool-glazers-man-united-americans-premier-league
  2. UK heatwave: Premier League to reintroduce drinks breaks this weekend. (2025). Retrieved 24 December 2025, from https://www.bbc.com/sport/football/62504094
  3. New Premier League financial system explained. (2025). Retrieved 24 December 2025, from https://www.premierleague.com/en/news/4467022/new-premier-league-financial-system-explained
  4. ‘More Premiership club bankruptcies inevitable without change’. (2025). Retrieved 25 December 2025, from https://www.bbc.com/sport/rugby-union/articles/clyz731p3yzo
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