1956年大会の開催地コルティナ・ダンペッツォでも、2月の平均気温が当時より3.6度上昇し、氷点下の日数も大幅に減少している1。気候変動はもはや環境問題の一分野ではなく、冬季五輪の存続基盤そのものを揺るがす現実的な危機である。
その対応策として人工雪が広く用いられてきたが、課題もある。2022年北京大会は全競技が人工雪で実施され、多量の電力と水資源を消費した。人工雪は天然雪より硬く、選手の安全性への懸念も指摘される2。環境配慮を掲げる大会が、結果として環境負荷を高めるという逆説は、五輪の理念に深い問いを投げかけている。
こうした状況を受け、IOCは気候の安定した地域を軸とするローテーション制を検討している。既存施設を最大限活用することで、環境負荷と財政負担の抑制を図る構想である。冬の五輪の課題はもはや「どの都市で開催するか」ではなく、「いかに持続可能な構造へ再設計するか」という段階に移っている。
3.スピードと演技進化の陰で 冬季競技の負傷リスクが拡大
今回の五輪では各競技の練習段階から重傷事故が相次ぎ、関係者の間に緊張が走った。そもそも冬季競技は本質的に外傷リスクが高い。国際オリンピック委員会(IOC)の傷害統計でも、フリースタイルスキーやスノーボードのハーフパイプ、ビッグエアは他種目に比べ負傷率が高いことが示されている3。技術の高度化とスピードの追求が、選手の身体にかかる負荷を一段と押し上げているのである。
1要するに、五輪を「単一都市の開発事業」から「地域連携型の国際イベント」へと転換する試みでもある。 21950年以降、歴代開催都市の平均気温は一様に上昇し、天然雪のみで大会を成立させることは困難になった。 3技術の高度化とスピードの追求が、選手の身体にかかる負荷を一段と押し上げているのである。 4氷上競技でも議論は続く。国際スケート連盟(ISU)は長年、危険性を理由にバックフリップ(後方宙返り)を禁止してきた。
マウスオーバーか長押しで説明を表示。
- <1分で解説>冬季五輪の開催適地 温暖化で急減の恐れ. (2026). Retrieved 13 February 2026, from https://mainichi.jp/articles/20260122/k00/00m/050/105000c
- 人工雪に頼る冬季オリンピック「競技なくなる」 アスリートは練習場求め転々 – 日本経済新聞. (2026). Retrieved 13 February 2026, from https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH180UX0Y6A110C2000000/
- IOC Injury and Illness Surveillance Study

