2021年 12月9日から10日にかけて、米国の主催による民主主義のためのサミット「民主主義サミット」がオンライン形式で開かれ、日本からは岸田文雄首相が参加した。
サミットは米バイデン首相の呼びかけのもと、「腐敗との闘い」「権威主義からの防衛」「人権尊重の促進」をテーマに、世界各国の政府、市民社会などから幅広くリーダーが集い、民主主義を強化するための議論がなされたという。
サミットの冒頭、バイデン大統領は、「民主主義が世界中で憂慮すべき挑戦を常に受け続けている」と危機感を示し、民主主義を旗印に友好国との結束をはかることで対抗していきたいと強調。
また、中国の新疆ウイグル自治区などの人権問題を理由に、来年の北京オリンピックとパラリンピックに政府関係者を派遣しない、いわゆる「外交ボイコット」をすると表明したことについて、アメリカの考えを改めて説明した。
サミットには、日本やEU(欧州連合)、イギリス、オーストラリア、そして台湾が参加した一方、バイデン政権が「専制主義国家」と位置付ける中国やロシアは招待されなかった。
米国は長年、民主主義や人権など価値観を広げる外交を展開し、国際秩序の構築を主導してきたと自負してきた。
開催の背景には、その民主主義の退潮が、自らが築いてきた秩序の根幹を揺るがしかねないと強い警戒感があるからだとみられる。
そのため、バイデン政権としては、民主主義や人権、法の支配など共通の価値観を持つ国や地域の首脳らが一堂に集結することで、民主主義の重要性を再確認すするとともに、経済や安全保障など幅広い分野での連携を図りたい構えだ。
また、このサミットについては、バイデン大統領は1年後をめどに対面式での開催も視野に入れている。
民主主義サミットの招待国
サミットには、世界の109の国と台湾・EU(欧州連合)の2つの地域が招待された。現在、日本は195カ国を正式に国と承認し、加えて193カ国が国際連合に加盟している。この数からみると、サミットには世界の半分強の国が参加している計算となる。