ウクライナに軍事侵攻したロシアが今年3月、進行中であったザポロジエ原発を攻撃して以降、原発はロシアの占拠下に。度重なる砲撃により、原発は危機的な状況だ。
8月上旬以降、原発付近で攻撃が相次いだことにより、IAEA(国際原子力機関)の調査団が9月に現地を視察。
原発にとどまるウクライナ人の運転手が、一部の地域に自由にアクセスできず、稼働、または緊急時に対応への懸念も示される1。
ザポロジエ原発は、欧州最大の原発。近接する火力発電所から「外部電源」として4系統の送電線が伸びている。
外部からの電力は、原子炉の冷却や運転など、安全性の維持に必要となるもの、しかし8月以降、原発施設への攻撃が相次ぎ、外部電源から切り離された状態に。原発では平時では一週間分の燃料が備蓄されているというが、
「戦争状態であり、どれだけの量が確保されているかは不明。燃料の確保がロシア側の交渉や脅しの手段として使われかねず、最悪の場合、メルトダウン(炉心溶融)につながる可能性もある」
1
という懸念も。
関連記事→
全国で電力需給がひっ迫 原発再稼働は必要か? 求められる分散型電源と再生可能エネルギー 残念な日本の住宅 核燃料も結局は「ロシア頼み」という現実
それでも日本は原発再稼働 武力攻撃「想定していない」
しかし、それでも日本は原発の再稼働・新増設の道を選択する。ザポロジエ原発は、すでに今年の3月時点で原発への破壊や電力を「人質」にする作戦が、ロシアの軍事戦略の一環であったことがわかった1。
だが岸田首相は8月下旬、原発の運転の延長とともに、新規の増設や建て替えの検討を進めるとの考えを表明。
そもそもの前提として、原発や使用済み核燃料再処理工場などは、武力攻撃を想定した設計にはなっていない。