Kiyoshi NakayamaによるPixabayからの画像
岸田政権が2021年末にまとめた脱炭素社会の実現に向けた基本方針は、既存原発の60年超の運転や建て替えなどの原発推進政策が中心となった。
岸田文雄首相といえば、首相就任前から、一貫して原発推進の立場をとってきた。東日本大震災前の2008年には、「日本原子力学会誌」で、
「原子力発電は、エネルギー安定供給の確保に貢献できるとともに、二酸化炭素を発電過程で排出せず、ライフサイクル全体で比較しても、単位発電当たりの排出量が石油火力の3%弱であり、地球温暖化対策としても有効な手段です。」
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と述べる。
しかしながら、原発の「活用策」ばかりが目立ち、「トイレなきマンション」とも呼ばれる原発の放射性廃棄物の後始末には具体的政策がない。
政府が2021年に策定したエネルギー政策の中期的な指針である「エネルギー基本計画」では、原発について、
「可能な限り依存度を低減する」
と明記。だが、今回出された基本指針では、
「脱炭素電源として最大限活用する」
とされ、原発への低減依存度の言葉は記されなかった。また、脱炭素社会の実現に向けて、
「あらゆる選択肢を追求する」
とすることで、原発の建て替えの道も残した。
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とはいえ、岸田首相も当初は、原発政策について「いつかやればいいよな」と周囲に語る程度で、それほど思い入れは強くなかったという説もある2。