Szabolcs MolnarによるPixabayからの画像
再来年の2025年に開催が迫る大阪・関西万博に危機が迫っている。万博の「華」として注目される海外のパビリオンの建設申請が、これまで1件もなされておらず、準備の遅れが危惧されているのだ。
大阪・関西万博には、これまでに153の国と地域が参加を表明しており、技術や文化を紹介する展示施設である「パビリオン」を設けることになっている。
このうち、50カ国余りの国がパビリオンの費用と自ら負担して建設することになっているが、これまで必要な建設許可は大阪市に申請した国はいない。
博覧会の資料によると、当初の計画では建設許可を申請してかた建設を始めるまでの期間は4カ月ほどを想定されており、建物本体の工事は来年の7月までに終える予定となっている1。
パビリオンの設置には、「タイプA」「タイプB」「タイプC」の3種類の方法が用意。
「タイプA」には、参加国が博覧会協会から敷地の提供を受け、建物の形状やデザインを自由に構成する方法。これは、それぞれの国や地域の個性や外観などが反映されるため。万博の「華」として注目されている。
「タイプB」は、博覧会協会が建物を建築し、参加国がその建物を借り受けて単独で入居する方法。
「タイプC」は、博覧会協会が準備する建物に複数の国がまとまって入居するもの。
このうち、ドイツやスイス、中国など50カ国あまりが「タイプA」の方法でパビリオンを建設する方針であり、その場合、参加国が設計から建築まで”自前”で行う必要がある。
博覧会協会によると、初めに提出を求めている「基本設計書」をこれまでに協会に提出した国は、「タイプA」を建設する方針の50カ国あまりの9カ国。
しかしながら大阪市によると、その次の段階の「基本計画書」を市に提出した国は1つもなく、建設申請する段階に進んだ国も1カ国もなかった。
申請ゼロの要因
申請が行われていない背景には、さまざまな要因が考えられるものの、建設業界が指摘するのは「資材価格の高騰」と「深刻な人手不足」、そして2年後に迫った万博開幕までの「工期の短さ」だという2。