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自民党の派閥による政治資金パーティーをめぐる問題では、最大派閥の安倍派では、政権の要となる官房長官の松野博一氏を含む議員の大半がキックバックを受け取り、政治資金収支報告書に不正がある疑いが浮上、12月には4人の閣僚が交代することに。
問題の発端は昨年秋に「しんぶん赤旗」が報じたことによる。
政治資金規正法によれば、1回のパーティー券購入額が20万円を超える場合、個人や団体はその収支を政治資金収支報告書に記載する義務があるが、しかし今回、一部に記載漏れがあったと報道された。
この問題を知った神戸学院大学の上脇博之教授が刑事告発を行い、それによって特捜部が動いた。
一方、特捜部には、IR・統合型リゾート施設事業に関わる汚職事件があり、秋元司内閣府副大臣(当時)が2019年12月に逮捕されるまで、約10年にわたる「空白期間」が存在した。
この空白期間の理由としては、自民党が政権を取り戻し、故・安倍晋三氏が再度首相に就任して以降、うまく検察を抑え込んでいたという指摘もある1。
そして、安倍政権下で「検察コントロール」のキーマンとなったのは、菅義偉官房長官(当時)だとみられている。
そうした安倍内閣における「権力の私的乱用」のうち特に問題だといえるのが、2020年1月31日に下された「黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年を6か月延長する閣議決定」。この黒川氏も、菅氏に近かったとのこと。
しかし、結局、“賭けマージャン疑惑”で黒川氏は東京高検検事長を辞任(2020年5月)。同年9月には安倍氏が首相を退陣。その後、首相となった菅氏はしかし官房長官時代のように抑え込むことはできなかった。
そうした経緯もあり、安倍氏がこの世を去った今、特捜は再び自由に動ける状況となる。
今回の「安倍派パーティー券問題」においても、それはかつて、息のかかった人物を東京高検検事長に残そうとするなど、人事にまで介入することを試みたという安倍政権時代の復讐とも。
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政治資金パーティーとは
政治資金パーティーは、基本的には「政治団体」が開催する。ただし、政党は政治団体に含まれるが、政党以外の政治団体もパーティーを開催することができる。代表的なものとしては、「後援会」がそう。