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朝日新聞出版の社員からパワハラを受けたとして、フリーランスの依田さんが約1950万円を求め提訴。編集業務契約後、契約外の負担も強いられたが、指示は曖昧で業務は長期化。叱責後に体調不良も発症した。東京地裁は約60万円の支払いを命じた。
- 朝日新聞出版の社員からパワハラを受けたとして、フリーランス女性が約1950万円を請求する訴訟を起こし、東京地裁は約60万円の支払いを命じた。
- 契約外業務の負担や明確な指示の欠如があり、編集責任者との電話後に不眠や震えといった体調不良が発生。
- 裁判所は電話での叱責について「違法とは認められない」と判断した。
朝日新聞出版(朝日新聞の完全子会社)の社員からパワハラを受けたとして、フリーランスの女性・依田さん(仮名)が、同社および社員に対して約1950万円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は4月7日、同社に約60万円の支払いを命じる判決を下した1。
原告側によると、2018年9月、同社の編集責任者であるX氏が、依田さんにムック本(全51ページ)の編集業務を委託。依田さんは同年11月に報酬25万円でこれを受諾し、契約を結んだ。
当初はライターから上がってくる原稿の編集業務が主な役割だったが、追加予定の人員が配置されなかったため、作業の遅れが発生。その結果、取材先の選定など、契約外の業務も担うことになり、自身の担当ページ以外の作業にも対応せざるを得なかったという。
それにもかかわらず、編集責任者であるX氏からは明確な指示がなく、業務は年をまたいで継続された。
しかし、翌2019年1月7日、X氏が依田さんに電話で叱責(なお、この叱責については裁判所は「不相当であったとまではいえず、違法な行為であったとは認められない」と判断している)。
依田さんは、1月7日にX氏と電話でやりとりした後、不眠や指先の震えといった身体症状に悩まされるようになったという。
朝日新聞出版の編集責任者による「無礼」「失礼」「非常識」というメール送信内容について
- メールの内容と表現
編集責任者は、フリーランス編集者である依田さん(仮名)に対して、「無礼」「失礼」「非常識」という表現を用いて非難するメールを送信した。 - 宛先の範囲
問題のメールは、依田さんだけでなく、他の協業者(ライターやデザイナーなど)をCC(宛先)に含めた形で送信されており、公開的な非難となる。 - 人格攻撃と侮辱的表現
メールには、「親の顔が見たい」などの侮辱的な表現も含まれており、人格権を侵害する内容だったと裁判所に認定された。 - 背景と状況
編集作業の遅れが依田さんにあると責任を押し付けるような内容で、具体的な指示がないまま業務が進行していた状況下で送られた。 - 裁判所の判断
東京地裁は、このメール内容を不法行為と認定し、精神的苦痛に対する賠償として約60万円の支払いを命じた。 - 影響と被害
このメールやその他のパワハラ行為により、依田さんは不眠や指先の震えなどの身体的・精神的症状を訴えた。
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