Gordon JohnsonによるPixabayからの画像
要約
2023年5月、福岡県柳川市の美容専門学校でバーベキュー中に火災が発生し、18歳の男子学生が死亡した事件について、当時、教員助手だった被告が初公判で業務上過失致死を認める。事故は、火力が弱まったコンロに被告がアルコールを注いだことで発生。事件の背景には、学校理事長の指示による消毒用アルコールの使用や、異議を唱えにくい閉鎖的な組織体質、安全対策の不備がある。
記事のポイント
- 教員助手がバーベキュー中にアルコールを注ぎ、学生が死亡する火災事故が発生し、被告は過失を認めた。
- 学校理事長の指示で危険な消毒用アルコールが使用され、異議を唱えにくい閉鎖的な組織体質が背景にあった。
- 消火器や水などの安全対策も不十分で、教育現場における安全管理と組織文化の見直しが課題となった。
Summary
In May 2023, an 18-year-old male student was killed when a fire broke out during a barbecue at a beauty school in Yanagawa, Fukuoka Prefecture. The defendant, a teacher’s assistant, admitted professional manslaughter at his first trial. The accident occurred when the defendant poured alcohol on a stove that had lost its heat. Behind the incident were the use of rubbing alcohol at the direction of the school’s president, a closed organizational structure that made it difficult to raise objections, and inadequate safety measures.
2023年5月、福岡県柳川市の「ハリウッドワールド美容専門学校」で発生したバーベキュー中の火災事故により、当時18歳の男子学生が死亡した。20日に開かれた初公判で、当時教員助手だった被告(25)は業務上過失致死の罪を認めた。
検察側は、篠原被告が火おこしと安全管理を担当していた際、火力が弱まったコンロに自らの判断でアルコールを注ぎ、事故を引き起こしたと指摘した。また、被害者の父親の文書が読み上げられ、「息子は二度と戻らない。関係者は自らの行為の重大さを深く自覚してほしい」と述べられた。
事故の背景には、学校内の組織的な問題があったとされる。第三者調査委員会によると、消毒用アルコールの使用は学校理事長の発案であり、現場の職員はその危険性を認識しながらも、閉鎖的な組織風土により異議を唱えることができなかった。
さらに、事故当日の安全対策にも重大な不備があった。現場には十分な消火器や水の備えがなく、危機発生時の対応体制が整っていなかった点も問題視されている。
この事件は、教育現場における安全管理の徹底と、指導的立場にある者への健全な異議申し立てが可能な組織文化の確立が、命を守るために不可欠であることを改めて示した。
事件の概要
- 2023年5月24日、福岡県柳川市のハリウッドワールド美容専門学校で学校行事のバーベキュー大会が開催
- 当日、教員助手が火力の弱まったコンロに手指消毒用アルコールを投入したところ、火が爆発的に燃え上がった。
- この事故で、コンロを囲んでいた男子学生4人が被災し、うち1人(当時18歳)は服に火が燃え移り、約2週間後に死亡した。残る3人も全治1週間から3か月のやけどを負った。
- アルコール投入の発案は学校理事長によるもので、職員は理事長の意向に逆らえない組織風土があったと第三者調査委員会が指摘。
- 事故当日は現場に十分な消火器や水の備えがなく、安全対策に重大な不備があった。
- 事件後、警察は理事長や職員ら3人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検したが、理事長ら一部は不起訴となった。
- 2025年5月20日の初公判で、当時教員助手だった被告(25歳)は業務上過失致死の罪を認めた。
- 第三者調査委員会は、理事長の強権的な経営や危機管理意識の欠如が事故の背景にあるとし、経営体制の抜本的刷新を求める報告書を公表。理事長は責任を取り辞任した。
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