要約
ドーピングを容認する「エンハンスト・ゲームズ」が2026年5月に米ラスベガスで開催される。主催は実業家デスーザ氏で、トランプ・ジュニア氏も支援。WADAは強く反発し、競技の倫理や選手の健康への懸念を示す。
記事のポイント
- 「エンハンスト・ゲームズ」というドーピングを認める前例のない大会が、2026年5月にラスベガスで開催予定。
- 主催は実業家アーロン・デスーザ氏、支援にはトランプ・ジュニア氏の投資ファンドが関与し、一方、WADAなどが強く反発。
- ただ、現代スポーツについては、公平性・公正性・経済格差をめぐる課題もある。
要約
The Enhanced Games, which condones doping, will be held in Las Vegas, USA, in May 2026. Organized by businessman D’Souza and supported by Trump Jr. WADA strongly opposes the event and expresses concern about the ethics of the games and the health of the athletes.
前代未聞の「ドーピングを認めるスポーツ大会」として注目を集める「エンハンスト・ゲームズ」が、2026年5月21日から24日に米ネバダ州ラスベガスで開催されることが発表された。
大会はオーストラリア出身の実業家アーロン・デスーザ氏が主導し、ドナルド・トランプ・ジュニア氏の投資ファンド「1789キャピタル」も支援している。発表に対しては、世界反ドーピング機関(WADA)などは「危険で無責任なプロジェクト」として強く反発。競技者の健康と競技の誠実性への懸念を表明している。
ドーピングは競技力向上を目的に禁止薬物を使用する行為で、スポーツの倫理と公正性を損なうものとされてきた。1999年にはWADAが設立され、国際的なアンチ・ドーピング規則が整備された。
一方で、スポーツにおける「公平」と「公正」の文脈による違いは、長年、議論をされた。一般的には公平は全競技者に同じ条件を与えることだが、公正は個別事情を考慮し、実質的な平等を目指す考え方である。例えば先進国の豊富な資源と発展途上国の限られた条件の間には、構造的格差が存在する。
エンハンスト・ゲームズは既存制度への批判や身体能力の自由な追求を理念として掲げているが、その影響について賛否が分かれている。本大会はスポーツの未来を問う重要な試金石ともなりえる。
ドーピングとは?
- ドーピングとは、競技能力を高める目的で薬物や特定の方法を用いたり、その使用を隠蔽したりする行為である。
- ドーピングの対象となる薬物や方法には、興奮剤、麻薬性鎮痛剤、蛋白同化剤(アナボリックステロイド)、利尿剤、ペプチドホルモン、血液ドーピング(自己または他人の血液や製剤の使用)などが含まれる。
- ドーピングはスポーツのフェアプレー精神に反し、競技者の健康を損ねるリスクが高い。たとえば、心臓や肝臓への負担、依存症、最悪の場合は死亡事故につながることもある。
- ドーピングは社会的にも悪影響を及ぼし、スポーツの価値や青少年への教育的意義を損なうと考えられている。
- ドーピング防止のため、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)をはじめとする国際的な組織が設立され、統一的なルールや検査体制が整備されている。
- ドーピング違反が発覚した場合、競技出場停止や資格剥奪などの厳しい制裁が科される。
- うっかりドーピング(意図せず禁止物質を摂取してしまうこと)も違反とみなされるため、薬やサプリメントの使用には細心の注意が必要である。
- ドーピングの歴史は古く、19世紀後半からスポーツ界で問題視されてきた。1960年代以降、死亡事故などを契機に国際的なアンチ・ドーピング運動が本格化した。
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