Mohamed HassanによるPixabayからの画像
要約
伊藤忠商事はファミリーマートのATMをセブン銀行に切り替え、同銀行への出資比率を2割まで引き上げる方針と報じられた。ファミマはATM運営の効率化を図り、セブン銀行は設置拡大の機会を得る。一方、セブン&アイは非中核事業を売却し、コンビニ事業に集中する再編を進めており、日本市場での利便性と企業価値の向上を狙っている。
記事のポイント
- 伊藤忠はファミマATMをセブン銀行に切り替え、出資比率を2割に引き上げる方針を検討中。
- セブン&アイはコンビニ事業に集中し、イトーヨーカ堂関連をベインに売却へ。
- ATM連携でセブン銀行の設置拡大とファミマの運営効率化が期待される。
Summary
TOCHU Corporation reportedly plans to switch FamilyMart’s ATMs to Seven Bank and increase its stake in the bank to 20%. Famima will improve the efficiency of its ATM operations, while Seven Bank will have the opportunity to expand its installations. Meanwhile, Seven & i is selling off its non-core businesses and reorganizing to focus on its convenience store business, aiming to increase convenience and corporate value in the Japanese market.
5月20日、伊藤忠商事がファミリーマートのATMをセブン銀行に切り替え、さらにセブン銀行への出資比率を2割まで高める方針を固めたとの報道があった1。一方、セブンは「当社から発表したものではなく、現時点で決定している事実はない」とコメント2。
セブンはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に対抗し、コンビニ事業に専念して単独での成長を目指す方針3。スーパーのイトーヨーカ堂などを束ねる中間持ち株会社を米投資ファンドのベインキャピタルに売却することを決めている。
ファミリーマートは現在、ATM事業をイーネットに委託しているが、セブン銀行との連携強化によりATMの効率化とコスト削減を狙っている4。一方、セブン銀行はこれまでセブン-イレブン店舗へのATM設置が中心だったため、設置先拡大による成長余地が限られていた。伊藤忠の出資によってファミリーマート店舗への展開が進めば、セブン銀行はATMネットワークを大幅に拡大できる可能性がある。
また、セブン&アイは非連結化による経営のスリム化と、コンビニ事業への集中による企業価値向上を目指している。こうした再編は、キャッシュレス化が進む中でも現金需要が根強い日本市場において、利用者の利便性向上や新サービス開発の基盤となると考えられる。
コンビニ大手3社のATMの歴史
- 1998年、ローソン店内に三和銀行(現・三菱UFJ銀行)がダイエーOMCのキャッシュディスペンサーを活用し、現金引出しサービスを開始したことが、日本のコンビニATMの始まりとされる。
- 1999年、さくら銀行(現・三井住友銀行)がam/pmに単独ATMを設置し、同年10月8日には複数の金融機関が提携した共同ATM「イーネット」がファミリーマートに初めて設置された。
- 2001年、セブン-イレブンを展開するセブン&アイグループがアイワイバンク銀行(現・セブン銀行)を設立し、セブン-イレブン店舗へのATM本格展開を開始した。セブン銀行ATMは、2001年の第1世代から現在の第4世代まで、利用者ニーズに応じて進化を重ねてきた。
- 同じく2001年、株式会社ローソン・エイティエム・ネットワークス(LANs)が設立され、ローソン店舗でのATMサービスが本格化した。なお、LANsは後のローソン銀行とは別法人である。
- 2018年には、ローソンバンク設立準備株式会社が銀行業免許を取得し、ローソン銀行としてローソン店舗のATM事業を自社銀行として展開する体制が整った。
- ファミリーマートでは、イーネットATMの設置が全国に広がり、2014年からは一部店舗でゆうちょ銀行との提携による「ゆうちょATM」の導入も始まっている。
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- 伊藤忠「ファミマのATMをセブン銀行に」 金融強化へ2割出資意欲. (2025). Retrieved 23 May 2025, from https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2066N0Q5A520C2000000/
- セブン銀行株、伊藤忠商事に売却しコンビニ事業に集中へ セブン&アイ・ホールディングス. (2025). Retrieved 23 May 2025, from https://www.sankei.com/article/20250520-M6SB3DNYBBKZVBSUHE5TRV5M2U/
- セブン銀株、伊藤忠に一部売却=コンビニ事業に集中―セブン&アイ. (2025). Retrieved 23 May 2025, from https://www.nippon.com/ja/news/yjj2025052000801/
- セブン&アイ、セブン銀行株を伊藤忠に一部売却 コンビニ金融再編. (2025). Retrieved 23 May 2025, from https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08DKG0Y4A101C2000000/