軍事行動そのものについても、看過できない問題がある。アメリカは作戦を「人道的介入」と位置づけたが、その背後には石油利権の確保や、中国・ロシアの影響力排除といった地政学的な計算も存在していたとみられる1。さらに中南米諸国では反米感情が急速に拡大2し、地域の安全保障協力体制にも動揺が広がっている。
他方、この攻撃は、米国が「モンロー主義からの脱却」を唱えつつも、実際には帝国主義的行動様式を保持し続けていることを示した。言い換えれば、今回の介入は、アメリカ的覇権の「再稼働」を象徴する出来事だった。
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米国の対ベネズエラ圧力、37年前の「パナマ侵攻」との共通点と相違点
アメリカがベネズエラへの軍事・政治的圧力を強める背景を理解するうえで、37年前の「パナマ侵攻」との比較は比較的有効である。どちらも、麻薬取引に関与した独裁者を「国際犯罪者」と位置づけ、国外で拘束し米国内で裁くという構図を同じくしている3。一方で、介入の方法や国際環境、政権交代後の出口戦略には重要な違いがあるという。
1しかし、この軍事介入は、米国がどのような国際秩序を構想しているのかという、より根源的な問いを突きつけた。 2アメリカがベネズエラへの軍事・政治的圧力を強める背景を理解するうえで、37年前の「パナマ侵攻」との比較は比較的有効である。どちらも、麻薬取引に関与した独裁者を「国際犯罪者」と位置づけ、国外で拘束し米国内で裁くという構図を同じくしている。 3ベネズエラは、確認可採埋蔵量で世界最大級とされる約3,000億バレルの原油を有する石油大国である。 4ベネズエラへの空爆を契機にささやかれたトランプ大統領による「ドンロー・ドクトリン」は、単なる対中南米政策ではなく、冷戦後の米国外交が世界秩序そのものを再設計しようとしている兆候とも位置づけられる。 5これはモンロー主義を攻撃的に再解釈し、西半球を米国の排他的勢力圏として再編することで、地域秩序を起点に国際秩序へ影響を及ぼす戦略である。
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- 米国のベネズエラへの軍事介入の影響 ~経済やマーケットへの影響は限定的ながら、世界の分断リスクは高まる~ | 嶌峰 義清 | 第一生命経済研究所. (2026). Retrieved 6 January 2026, from https://www.dlri.co.jp/report/macro/560733.html
- メキシコ大統領、米国の内政干渉拒否 ベネズエラ攻撃にも反対. (2026). Retrieved 6 January 2026, from https://jp.reuters.com/world/us/EAI4KR72XJMMRKBGGF7T6ZHXOI-2026-01-05/
- George C. Herring, From Colony to Superpower: U.S. Foreign Relations Since 1776 (Oxford University Press, 2008)
