これはモンロー主義を攻撃的に再解釈し、西半球を米国の排他的勢力圏として再編することで、地域秩序を起点に国際秩序へ影響を及ぼす戦略である。
この方針は、ベネズエラへの軍事行動やメキシコ国境政策に象徴されるように、近隣地域の再統制を通じて米国の安全保障を立て直す試みとして展開された。しかしその帰結として、中南米では反米感情が拡大し、中国やロシアが介入する余地が広がった。
結果的にラテンアメリカは、米国の勢力圏として固定される空間から、大国間競争が交錯する地政学的フロンティアへと変質し、米国が自由主義的国際秩序を主導する前提条件そのものが揺らぎ始めている。
こうした地域秩序の動揺が国際秩序全体に波及する現実を踏まえ、浮上してきたのがG7に代わる新たなパワーバランス構想であり、その具体像とされるのが、米中露印日による「コア5(C5)」構想1だ。
この欧州を周縁化するこの発想は、BRICSの台頭やドル基軸体制の揺らぎと連動し、一つの地域介入が戦後リベラル秩序の解体と再編を促す時代に入ったことを示唆している。
1しかし、この軍事介入は、米国がどのような国際秩序を構想しているのかという、より根源的な問いを突きつけた。 2アメリカがベネズエラへの軍事・政治的圧力を強める背景を理解するうえで、37年前の「パナマ侵攻」との比較は比較的有効である。どちらも、麻薬取引に関与した独裁者を「国際犯罪者」と位置づけ、国外で拘束し米国内で裁くという構図を同じくしている。 3ベネズエラは、確認可採埋蔵量で世界最大級とされる約3,000億バレルの原油を有する石油大国である。 4ベネズエラへの空爆を契機にささやかれたトランプ大統領による「ドンロー・ドクトリン」は、単なる対中南米政策ではなく、冷戦後の米国外交が世界秩序そのものを再設計しようとしている兆候とも位置づけられる。 5これはモンロー主義を攻撃的に再解釈し、西半球を米国の排他的勢力圏として再編することで、地域秩序を起点に国際秩序へ影響を及ぼす戦略である。
マウスオーバーか長押しで説明を表示。
