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毎年3月8日は、「国際女性デー」だ。国際女性デーは、「女性の権利運動を称え、社会参加や地位向上を訴える日」。
国際女性デーが3月8日となったのは、いくつかの歴史的な出来事と関係している。
まず1917年のロシアで、第一次世界大戦や食糧不足などを理由に社会不安が高まるなか、3月8日(ユリウス暦では2月23日)に、ペドログラード(現在のサンクトペテルブルグ)で女性労働者を中心にデモが起こった。
デモにはやがて男性の労働者や兵士らも参加し、やがて革命にまで発展。これが「二月革命」であり、ロシア帝政の崩壊へとつながる。
その後、1921年にモスクワで開かれた国際共産婦人会議において、3月8日を国際女性デーとすることが決定。
1975年、 国連が「国際婦人年」を宣言、3月8日を「国際女性デー」と定める。
また1904年にアメリカのニューヨークで起きたデモなど、1900年代初頭にあった女性の参政権や女性労働者に関する運動にも関係が。
1908年にも、ニューヨークで女性の労働条件の改善などを訴えて、ストライキをおこなったこれらの影響で、まずアメリカで1909年2月28日に「全米女性の日」が制定。
1910年には、17か国が参加したコペンハーゲン(デンマーク)での会議で、女性の権利運動を称える国際的な「女性の日」が作られた。
ジェンダーギャップ指数 日本は低迷
ジェンダーギャップ指数というものがある。男女平等についての、経済・政治・教育・健康の4つの分野における男女間の不平等の度合いを示すもの。
世界各国の男女間の平等の度合いを比較でき、その国の政策や制度の改善に向けた取り組みに影響を与えることも。
ジェンダーギャップは以下のような項目を測定し、加重平均をとることで算出される。
・経済(労働参加率・同一労働における賃金・収入格差・管理職の男女比・専門技術の男女比)
・政治(議会や閣僚など意思決定機関への参画・過去50年間の国家元首の在任年数における男女差)
・教育(識字率・初等教育就学率・中等教育就学率・高等教育就学率の男女比)
・保健(出生時性比・平均寿命の男女差)
2022年7月13日に公表された最新のジェンダーギャップ指数では、日本は世界全体の146カ国中116位の低評価を受けた。
上位5カ国は、
1位 アイスランド
2位 フィンランド
3位 ノルウェー
4位 ニュージーランド
5位 スウェーデン
だ。
日本のスコアは教育分野では世界トップレベルである2022年度は1.000、つまり「完全平等」とされる状態を達成している。一方で、大きくおくれをとっているのが経済、そして政治分野。
とくに政治分野においては、数値が非常に0に近く、ほぼ完全不平等の状態といってよい。
スペイン クオータ制を導入 世界で相次ぐクオータ制
スペインのサンチェス政権は7日、閣僚級のポストや企業の取締役における比率を男女どちらも40%以上とするクオータ制の導入を盛り込んだジェンダー平等促進法案を閣議決定。
ジェンダーの平等を重視するヨーロッパ諸国のなかでも先進的な取り組みであり、今後、世界に波及する可能性も。
クオータ制とは、議会や会社役員などの女性の割合を、あらかじめ一定数に定めて、積極的に「割り当て」(quota)るというもの。女性の社会進出を後押しするだけでなく、男女ともに働きやすい社会を実現するものだ。
法案では、内閣における男性と女性の閣僚がいずれも40%以上となるよう、義務付ける。政党に対しては、地方、国政、EU(欧州連合)欧州議会まで、候補者の数を「男女同数」となるように規定。
上場企業につては、2024年までに取締役の4割を女性とするよう義務付ける。また非上場企業においても、従業員数や売上高が一定の規模以上なら、2026年までに取締役の4割を女性にする必要がある1。
イギリスのフィナンシャル・タイムズ(FT)によると、議会候補者のクオータ制は、ベルギーが1994年に欧州諸国で初めて導入した。
日本 シングルマザーの貧国 極めて勤勉、しかし貧困に
ここでは、日本のシングルマザーの貧国について取り上げたい。日本のシングルマザーは世界的にみても、極めて勤勉だ。
厚生労働省によると、日本の母子家庭の8割が就労している。OECD(経済協力開発機構)のデータをみると、加盟国のシングルマザーの平均の就労率は6割強であり、さらに日本の女性全体の就業率が5割(総務省)「労働力調査」と比べても高い。
しかしながら、日本の母子家庭の平均的な総所得は年間254万円ほどで、この数字は児童のいる一般世帯の平均的総所得の36%ほど。結果、母子家庭が85%を占める「ひとり親世帯」の相対的貧困率は50%にもおよぶ。
つまり、日本のシングルマザーは世界的にみても勤勉に働きつつも、最終的には貧困に陥ってしまうのだ。
なぜ日本の母子家庭の平均総所得は一般世帯の36%にしかおよばないのか。
日本は男性と女性という性差が先進国の中でも突出して大きく、とくに日本では子どものいる女性は、フルタイム就労者同士を比較しても、同じ年齢層の子どものいる男性と比べ、4割にも満たない賃金水準となってしまうからだという2。
結果、家族の大黒柱である男性がいないと、経済的に困窮してしまう可能性が急に高くなる。