米国のベネズエラ攻撃は何を意味するのか 「37年後のパナマ」――ベネズエラ介入に見る米国の論理 シェールでは埋まらない現実 米国がベネズエラの石油を欲する理由

中南米
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 ノリエガ政権は1980年代後半、麻薬取引や選挙不正を理由に米司法当局から起訴され、1989年の米軍侵攻によって崩壊した。これに対しマドゥロ政権も、麻薬テロリズムなどの容疑で起訴され、制裁と軍事圧力を組み合わせた「越境的身柄確保」が想定されている。このアメリカにとって敵対指導者を主権国家の元首ではなく犯罪者として扱う発想は共通する。

 しかし、パナマでは大規模地上侵攻による即時的な政権転換が行われたのに対し、ベネズエラでは長期占領を避ける限定的・外科手術型介入が前提となっている。また、冷戦末期の反共色が濃かったノリエガ排除に比べ、マドゥロへの圧力は麻薬、移民、中露排除といった多極化時代の課題を反映している。

 こうした点から「ベネズエラの37年前」とは、単なる歴史の再現ではなく、変化した国際秩序と軍事技術のもとで生じた、より複雑な介入の形と位置づけられている。

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ベネズエラ原油の戦略価値 「量」ではなく「質」が米国を引きつける

 ベネズエラは、確認可採埋蔵量で世界最大級とされる約3,000億バレルの原油を有する石油大国である。地理的にもアメリカ本土に近く、輸送コストが低いことから、戦略的供給地として高い潜在価値を持つ。

1しかし、この軍事介入は、米国がどのような国際秩序を構想しているのかという、より根源的な問いを突きつけた。 2アメリカがベネズエラへの軍事・政治的圧力を強める背景を理解するうえで、37年前の「パナマ侵攻」との比較は比較的有効である。どちらも、麻薬取引に関与した独裁者を「国際犯罪者」と位置づけ、国外で拘束し米国内で裁くという構図を同じくしている。 3ベネズエラは、確認可採埋蔵量で世界最大級とされる約3,000億バレルの原油を有する石油大国である。 4ベネズエラへの空爆を契機にささやかれたトランプ大統領による「ドンロー・ドクトリン」は、単なる対中南米政策ではなく、冷戦後の米国外交が世界秩序そのものを再設計しようとしている兆候とも位置づけられる。 5これはモンロー主義を攻撃的に再解釈し、西半球を米国の排他的勢力圏として再編することで、地域秩序を起点に国際秩序へ影響を及ぼす戦略である。

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