コロナ渦明けも止まらないプロ野球人気の低迷 進む日本野球のメジャーリーグ化?

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 プロ野球も、交流戦が終了した。しかし、観客動員数が伸び悩んでいる。

 平均の観客動員数は、コロナ前の7割程度。とくに開幕初期は、千葉ロッテ・佐々木郎希の完全試合で盛り上がったものの、しかし観客動員数が大きく増加することはなかった。

 開幕初期の4月21日までの平均の観客動員数は、コロナ渦前の7割程度。とくに、パ・リーグで動員数の低調が目立ち、中には1試合の球場の動員数が1万人を切る試合も複数、相次いだ。

 実際に、球場に訪れたファンの声も、Twitter上で、

「こんなん空いてるの!?」

「ガラガラやなぁ」

といった声が相次いだ。

 プロ野球の観客動員数は、2016年~19年までのシーズンで4年連続過去最高を記録。しかし、そこにきてコロナ渦が襲う。2020年と21年シーズンは新型コロナウイルスの影響で、無観客試合や収容制限を設けての試合が続く。

 ようやく今シーズンに入り、観客制限なしでの試合が再開。4月16日と17日に甲子園球場で行われた阪神-巨人戦の「伝統の一戦」はいずれも4万人超える観客を集めたものの、しかしパ・リーグでは1万人を切る試合も出た。

 たとえば4月19日と20日に所沢のベルーナドームで行われた西武‐ロッテ戦は、2日続けて7000人台にとどまる。

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なぜ、野球人気に歯止めが掛からないのか

 もともと、コロナ禍に関わらず、未来のプロ野球を支える存在である少年野球人口が、2010年からの10年間で3分の2以下に減少している1。それにコロナ渦がより野球離れに拍車をかけた状態だ。

 なぜ、球場に客足が戻らないのか。スポーツマーケティングなどを専門とする和光大学現代人間学部人間科学科の原田尚幸教授は22日、J-CASTニュースの取材に、

 コロナの感染状況が終息したとは言えない状況で、満員のスタジアムが安心・安全であるとはまだ考えにくく、もう少し様子を見てから判断するという人が一定数いるのではないか。

J-CAST ニュース、2022年4月24日

との見解を示した2

 コロナ禍での観客制限時は両隣が1席空いていたので安心して観戦することができましたが、規制撤廃後は、同じチームのファンとはいえ、見ず知らずの人と隣同士で観戦することにまだ慣れていません。

 アルコールの販売も再開されましたが、少数ながら酔って大きな声援を送る人もいるため、不安を感じることがあります。

J-CAST ニュース、2022年4月24日

コロナに関係なく、野球離れは深刻


 しかしながら、長期的な野球人口の減少は、歯止めが効かないでいる。

 2020年は、日本の少年野球人口がはっきりと減少に転じた2010年から10年目に当たる。2010年ごろから、小学校(学童野球)、中学校(中体連)の野球人口が減少。今では、10年前の3分の2以下にまで落ち込んだ。

 もちろん、この間も少子化が進んでいるが、しかし世代人口の減少は5%であるから、少年野球人口の減少は、その8倍ものスピードで進んでいる。

 野球離れの原因としては、

・テレビ地上波でのプロ野球の試合中継の激減
・野球が気軽にできる遊び場の減少
・格差社会が進むなかで野球用具をそろえなければならない親の負担
・競合するほかのスポーツの増加
・いまだ「昭和の時代」が抜けきれない野球そのもののイメージの悪化

などが複合的に絡み合い、急激な野球離れを招いていると推測される。

 野球界側もさまざまな対策を行っている。「野球教室」と呼ばれるものを、小中学生の段階から未就学児や小学校低年齢層まで広げ、「指導」というよりも「野球の楽しさ」を感じてもらう取り組みへと変えている。

 しかし、日本の野球界は、プロ、社会人、大学、高校、そして独立リーグなど、バラバラになって日々の活動をしているのが実情。連携しての取り組みができていない。

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海の向こうのアメリカでは、野球離れに歯止めが止まったものの、メジャーリーグの地位が低下 日本プロ野球も同じ道を進む?


 一方、アメリカでは、競合するアメリカンフットボールやバスケットボール、さらに近年ではサッカーにさえ、その地位を脅かされていた野球であるが、地道な努力により、野球人口は徐々にはあるが回復している3

 スポーツ&フィットネス協会(SFIA)によると、2018年のアマチュア野球人口は1590万人で、2014年から21%も増加した。この数字は、家の庭でバットを振る6歳児かから米国大学選手権大会の先発メンバーまで含まれる。

 ライバルとなる他の競技がタックルありのアメリカンフットボールの競技人口が5年間で3.4%減ったり、あるいはアイスホッケーとサッカーがそれぞれ、2018年に3.8%減、4.3%減と減っているなかで考えれば、健闘はしている。

 ただメジャーリーグも観客動員に苦戦。4月20日にオークランドで行われたアスレチックス-オリオールズの試合の動員数は3748人と発表4。コロナ渦による入場規制試合などを除けば、42年ぶりの最低水準となった。

 オリオールズの球団総年俸4800万ドル(約60億円)は全30球団中30位、アスレチックスも5800万ドル(約73億円)で29位と補強しない両チームの対戦はやはり不人気。

 日米ともに、野球人気回復への地道な取り組みが求められる。

  1.  広尾晃『急激な「野球離れ」で球界が直面する厳しい未来』東洋経済ONLINE、2020年1月5日、https://toyokeizai.net/articles/-/321767?page=2 
  2.  J-CAST ニュース『観客制限撤廃も…ガラガラのプロ野球 コロナ前の約7割、一体なぜ?識者「応援の醍醐味失われたまま」』2022年4月24日、https://www.j-cast.com/2022/04/24436019.html?p=all 
  3.  Rachel Bachman『野球人気復活か、米国でアマチュア人口2割増』ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2019年2月20日、https://jp.wsj.com/articles/SB10039284450484833869604585134762327961490 
  4.  スポーツ報知「アスレチックス・オリオールズ戦の観客3748人 入場規制試合など除けばオークランドで42年ぶりの閑古鳥記録」2022年4月20日、https://hochi.news/articles/20220420-OHT1T51081.html?page=1 
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