インドネシアのサッカー場で暴動 125人死亡 サッカーとフーリガン インドネシアは「アジアで最も危険なリーグ」

アジア
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S. Hermann / F. RichterによるPixabayからの画像

 インドネシアの東ジャワ州マランのサッカー場で1日、プロリーグの試合後にて観客による暴動が発生。

 逃げようした観衆が出入り口に殺到するなどし、インドネシア国家警察によると125人が死亡した。負傷者も約300人以上であるという。

 2日、地元メディアが伝える。州政府は当初、死者を174人とするなど情報が錯綜したが、国家警察は2日、犠牲者の確認を終えたと発表。

 試合では、インドネシア第二の都市スラバヤの「ペルセバヤ・スラバヤ」が、地元のホームチームであるマランの「アレマFC」を3-2で破る。両チームはもともとライバル意識が強く、試合もたびたび荒れていた。

 そのため、試合後の混乱を避けるため、ペルセバヤのファンはこのスタジアムへの出入りを禁じられ、観衆は地元ファンのみ1 。

 さらに地元チームであるアレマは、過去23年間、地元でペルセバヤとの試合は負けたことがなかった。

 FIFA(国際サッカー連盟)の指針では群衆管理のためのガス使用を禁じていて、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルも2日、調査の徹底を求める。

 またFIFAのインファティノ会長は、

「サッカー界にとって暗黒の1日だ」

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とする談話を発表。

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インドネシアのサッカー事情


 インドネシアのプロリーグのクラブに3年間在籍し、事件が起こったスタジアムでのプレー経験もある元Jリーガーの大友慧さんは日刊ゲンダイ(2022年10月3日)の取材に対し、インドネシアのサッカー事情を踏まえたうえで、

「インドネシアのリーグはとにかく熱狂的のひと言。試合開催日のスタジアム周辺は、交通ルールさえないような混乱した状況におちいりします。

 スタジアムがパンパンになるまで観客を詰め込むし、試合後にピッチに乱入してくるサポーターも少なくありません。選手をめがけて花火が打ち込まれることもあります。

 今回のカードは、同じ州のライバル同士のダービー。同国内でも熱狂的になる試合として知られています」

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と語る。

 英紙「ガーディアン」では、地元保健所長のコメントを引用し、

「120人以上が死亡し、彼らは混乱、過密、踏みつけ、窒息で命を落とした」

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とした。

Gordon JohnsonによるPixabayからの画像

サッカーとフーリガン

 サッカーとフーリガンとの関係は、とくに1980年代に入ってから深刻化。

 1985年にベルギーで行われたーロッパ・チャンピオンズ・カップ決勝戦で「ヘイゼルの悲劇」とよばれる大惨事が発生。事件後、5年間インググランドのクラブチームは国際試合への出場を禁じられた。

 フーリガンが起きる目的は、一義的には労働者階級の者たちの鬱屈した生活の憂さ晴らしではあるものの、その根底には国や地域などがもつ民族対立や宗教対立、経済格差や社会問題、ときにはネオナチから極右勢力との関係などの問題が関係する5

 「フーリガン」という言葉は、もとは「町の不良」「無頼漢」「ならず者」などを意味する英語であり、9世紀のロンドンの街中で、しばし酒を飲んでは悪事を働いたアイルランド人の姓「Hoolihan(フーリハン)」が語源とする説が有力だ6

 今回の事件について、神戸親和女子大の平尾剛教授(スポーツ教育学)は東京新聞の取材に対し、

「貧富の格差や失業率といった社会的背景を考慮するべきだ」

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と指摘する。

アジアで最も危険なリーグ 

 
 ジャーナリスト清義明さんは東京新聞の取材に対し、インドネシアのサッカーは「アジアで最も危険なリーグ」と説明。

 1万を超える島からなり、民族も多様。

「地域間対立がサッカーと結び付き、死者が出るサポーター同士の抗争も絶えない。」

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ことも事故につながったとする。

 FIFAの8月現在のランキングで、インドネシアは155位(日本は24 位)。強豪国とはいえないが、サッカーはバドミントンと並ぶ人気スポーツ。

 清義明さんは「アジアで最初にワールドカップ(W杯)に出場したのはインドネシア」とする9。インドネシアは1938年、オランダ領東インドとして出場。

 またアジア経済研究所の川村晃一研究員は、被害拡大を「警察力の過剰行使が原因」と語る10

 インドネシアは1960~90年代、軍出身のスハルト大統領の政権が30年以上続いた。国民を抑え付けつつ、工業化を推進する統治スタイルは「開発独裁」と呼ばれた11

「その後民主化されたとはいえ、独裁政治の名残で、警察は市民の安全よりも治安・秩序の維持を優先している。」

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と川村さんは解説する。

  1. ジャカルタ=共同、西日本新聞、2022年10月3日付朝刊
  2. ジャカルタ=共同、西日本新聞
  3. 日刊ゲンダイDIGITAL「試合後の暴動で125人死亡…インドネシアのサッカー事情とは プレー経験ある元Jリーガー語る」2022年10月3日、https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/312252
  4. FOOTBALL ZONE「「悲劇」「恐ろしい光景」 インドネシアサッカーリーグで大暴動、150人死亡の大惨事に海外衝撃「子供も犠牲者に」」Yahoo!ニュース、2022年10月2日、https://news.yahoo.co.jp/articles/201ca1eaece7311a29017bb6aff2d814bc1d8b91
  5. 安藤正純、石田英恒 『ワールドカップを100倍楽しむための フーリガン完全対策読本』ビジネス社、2001年
  6. 西村幸祐「フーリガン」コトバンク
  7. 宮畑譲、西田直晃「インドネシア・サッカー場暴動 なぜ130人超も死亡したのか…」東京新聞、2022年10月6日、https://www.tokyo-np.co.jp/article/206652/1
  8. 宮畑譲、西田直晃、2022年10月6日
  9. 宮畑譲、西田直晃、2022年10月6日
  10. 宮畑譲、西田直晃、2022年10月6日
  11. 宮畑譲、西田直晃、2022年10月6日
  12. 宮畑譲、西田直晃、2022年10月6日
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