Gerd AltmannによるPixabayからの画像
日本映画市場の課題が、そのいびつな構図だ。
すでに2015年の段階で、いわゆるハリウッドメジャーと邦画大手3社(東宝、東映、松竹)が占める興行収入の割合は全体の興行収入(2171億1900万円)の85%に達しており、この9社以外の映画会社で残りの15%のシェアを奪い合っている状況であった。
さらに明らかとなったのは、大手9社が実際に公開した映画の本数は、日本全国で1年間に公開された1136作品のうちの153作品(全体の13.5%)程度であり、それ以外にいわゆる低予算で作られたインディペンデント映画は983作品が作られたものの、しかし残りの15%のシェアを奪い合う状況となっている状況。
しかしながら、日本は世界でも屈指の「映画製作大国」であることは事実。そのようななかで、膨大な上映作品の”受け皿”となっているのが、大手の映画会社の系列化にない、小さな映画館であり、ミニシアター劇場である。
たとえば、2021年には一般公開された約490本の日本映画のうち、実に7割にのぼる作品が、ミニシアターで上映されていた1。
だが、コロナ渦のもう数年前から、そのミニシアター劇場が地方・都内各地を問わず閉館に追い込まれている。
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続々と閉館に追い込まれていくミニシアター
ここ数年、ミニシアター劇場が数多く閉館に追い込まれている。その原因としては、郊外への出店で成功を収めてきたシネコンが都心部にも進出してきたこと、上映方式が従来のフィルムからデジタルに移行していくなかで資金的に追い込まれたことなどがよくいわれている。