トルコ、シリアで大地震 「地震の巣」で 45カ国以上が支援 内戦下の災害 寒さも追い打ちに

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Soham KによるPixabayからの画像

 アメリカの地質調査所(USGS)によると、6日午前4時17分(日本時間6日10時17分)ごろ、トルコ南部のガジアンテプケン付近で、マグニチュード(M)7.8の地震が発生。震源の深さは17.9キロ。

  トルコや隣国のシリア当局などによると、2300人以上が死亡し、1万人以上が負傷したという(2023年2月6日現在)。

  余震も断続的に続いている。USGSによると、6日午後1時24分(日本時間6日7時24分)ごろには、トルコ南部で新たにM.7.5の地震が。

  トルコの災害緊急事態対策庁によると、1498人が死亡し、8500人以上が負傷。トルコのエルドアン大統領は2800以上の建物が倒壊したことを明らかにし、

 「がれきの撤去が続いており、死者が何人になるかわからない」

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 と語る。

  トルコの隣国であるシリアでも多くの建物が崩壊。保健省によると、北部のアレッポ県や北西部ラタキア県などで、430人が死亡し、1300人以上が負傷。

  シリア北西部の反体制派地域で活動する市民組織によると、反体制派地域では380人以上が死亡し、1000人以上が負傷したという。

  トルコは日本と同様、活断層が多く存在し、地震国として知られる。日本政府は6日、捜索と救助を行う国際緊急援助隊・救助チームの先発隊を派遣した。

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地震の巣


 トルコはプレートの境界に位置し、日本と同様、「地震の巣」といわれるような地帯に位置する国。多くの活断層も存在する世界有数の地震国で、これまでにもたびたび多くの被害に遭ってきた。

 一方、耐震対策は不十分であるとも2

  トルコは、ユーラシアプレートやアラビアプレートなど、複数のプレートの境界周辺に位置。南東部の東アナトリア断層や、北部を東西に横断する北アナトリア断層など、活断層が多く存在、大規模な地震が続発してきた。

  1999年には北西部で大規模な地震が。1万7000人以上が死亡し、最大都市イスタンブールでも被害が出た。2011年に起きた東部ワンで起きた地震では、600人以上が死亡。

  最近では、2020年にもトルコ、ギリシャ沖のエーゲ海で地震が発生、100人以上が死亡している。産業技術総合研究所の近藤久雄主任研究員(古地震学)は、

 「活断層には500年以上も地震が起きていない部分があり、近く起きるのではないかと警戒されていた。活断層の一部が数10キロ以上にわたって水平方向にずれた可能性がある。

 今回ずれなかった隣り合う部分も、今回をきっかけに動く恐れがある」

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 と指摘する。

 支援 45カ国以上が

 
 トルコとシリアに甚大な被害を出した地震に対し、各国は相次いで支援を表明。ロイター通信によると、トルコのエルドアン大統領は6日、45カ国とNATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)からの支援の申し出があったとする。

  米ホワイトハウスによると、バイデン大統領は6日、エルドアン大統領と電話で協議。犠牲者らに哀悼の意を示すとともに、

 「必要なあらゆる支援を用意する」

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 と述べたとする。

  イギリス政府はトルコからの要請を受け、捜索・救助隊や医療チームの派遣を決定。派遣される隊員らは、がれきの中から人を探し出す探知機やコンクリートを切断する装備5

  ロシアのプーチン大統領も6日、トルコのエルドアン大統領とシリアのアサド大統領と相次いで電話協議。ロシアの救援チームを両国に派遣する意向を示す6

 プーチン政権は内戦が続くシリアに2015年から軍事介入し、アサド政権を全面支援している。

  国連のグテレス事務総長は6日、国連総会の演説で、

 「連帯を示す時だ」

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 と述べた。

内戦下の災害 極寒も追い打ちに


 地震では、内戦下でのシリアでも大きな被害を出す。在英のシリア人権監視団によると、アサド政権が支配する地域や反体制派の最後の拠点であるイドリブ県などを合わせた死者は800人を超えた模様。

 トルコと隣接するイドリブ県の状況をAFP通信は、

 「(内戦下での)砲撃や銃弾よりもつらかった」

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 と嘆く現地在住の被災者の声を伝える。

  SNSには、建物の崩壊現場で重機を使った救助作業や、医療施設に搬送された男性や子どもの写真が次々と投稿される。救助活動を行う「シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)は、Twitterで、

 「冬の寒さの中、多数ががれきの下に閉じ込められたままだ」

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 とその惨状を訴えた。だが、シリアの反体制派への国際的な支援を、対立するアサド政権がすぐに認める公算は小さい10

  一方、現地を寒さが襲う。トルコ南東部のディヤルバクルの捜索現場では、雪が降り積もるなか、防寒着やマフラー身につけた救助隊員らが、がれきに閉じ込められた生存者を探す。

  しかしながら、厳しい冷え込みは、救助隊の作業が鈍らせるとともに、救助を待つ生存者の生命をも奪いかねない。

  1. エラズー(トルコ東部)・カイロ共同=西日本新聞「トルコM7.8、2300人超死亡」2023年2月7日付朝刊、1項
  2. イスタンブール・共同=西日本新聞「活断層多数、被害幾度も」2023年2月7日付朝刊、5項
  3. イスタンブール・共同=西日本新聞「活断層 数十キロ以上ずれたか」2023年2月7日付朝刊、5項
  4. 鈴木一生・篠田航一・大前仁「トルコ地震 米国「あらゆる支援用意」 45カ国以上が支援申し出」毎日新聞、2023年2月7日、https://mainichi.jp/articles/20230207/k00/00m/030/016000c#
  5. 鈴木一生・篠田航一・大前仁、2023年2月7日
  6. 鈴木一生・篠田航一・大前仁、2023年2月7日
  7. 隅俊之「トルコ地震、内戦下シリアも大被害 国連事務総長「連帯示す時」」毎日新聞、2023年2月7日、https://mainichi.jp/articles/20230207/k00/00m/030/018000c
  8. 時事ドットコムニュース「内戦下の荒廃、支援難しく シリアでも甚大な被害 トルコ地震」Yahooニュース、2023年2月7日、https://news.yahoo.co.jp/articles/19dfa1e8f5c7f8ea3836e4349f7d24cbb8dd9fe7
  9. 時事ドットコムニュース、2023年2月7日
  10. 時事ドットコムニュース、2023年2月7日
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