Volker GlätschによるPixabayからの画像
有数の新興国であるインドが、今、世界で急速に存在感を高めている。
首都ニューデリーで開かれた9月9、10日のG20サミット(主要7カ国・首脳会議)は、同国のモディ首相にとってみれば、その存在感を世界に示すことのできる重要な機会になったであろう。
同サミットをめぐっては、ロシアのウクライナ侵攻後、各国の対立や意見の隔たりが大きく、当初は首脳宣言さえ出せない事態も予想されていた。
しかしインドは、議論が始まってもいないような段階で、各国に首脳宣言を提案し、判断を迫る”奇策”を演じ、初日に採択がなされるという異例の展開を生む1。
国連経済社会局の推計で、今年4月までに人口が14億2477万に達し、中国を追い抜き世界トップの座に躍り出たとみられるインド。若年人口も多く、今後もますます経済の発展も見込める。
一方で、インドが抱える課題も山積みだ。特に製造業の弱さが目立つ。製造業振興策である「メーク・イン・インディア」の下、目下補助金を活用した産業育成策を進めるも、なお主要な製品は輸入に頼っているのが現実。
世界一という人口ながら、その「人口ボーナス」を生かせていない社会構造の問題点も指摘される。みずほリサーチ&テクノロジーズに対木さおり主席エコノミストは、週刊エコノミストの取材に対し、
「人的資本の蓄積の遅れは深刻で、特に女性の労働参加率の低さが経済成長を妨げている」
2
と指摘。とくに農村部では、女性は家庭の労働力として扱われ、学校に通っていない少女も少なくない。女性の識字率も6割台(2021年)にとどまり、これはアジア諸国の中でも飛びぬけて低い段階にある。
そのようなインドであるが、最近、「インド」という国名を変更する動きがあるという。
関連記事→
インド、「バーラド」へ国名変更?
「インドの国名がバーラド」に変わる・・・。そう世界的にささやかれるようになったのは、G20サミットの招待状や議長席のプレートのインドの国名を、今回、「バーラド(Bharat)」と表示したためだ。そのことが、インドが国名を変更する布石ではないかと憶測が広がっている。