Angelo GiordanoによるPixabayからの画像
1日午後4時10分ごろ、石川県志賀町で震度7の地震があり、北海道から九州にかけての広い範囲で揺れを観測した。
気象庁は、石川県能登地方に一時、大津波警報を発表。輪島港では、1.2メートル以上の津波が観測された。珠洲市などの沿岸でも、津波による住宅被害が発生。
泉谷満寿裕・珠洲市長は、石川県の対策会議で、
「9割方の家屋が全壊やほぼ全壊という状況で、壊滅的な被害だ」
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と述べる。
輪島市の観光名所である「輪島朝市」の周辺では大規模な火災があり、約200棟が延焼。ビルの倒壊もあった。
津波も、地震発生直後から日本海側の広い範囲で観測。共同通信が航空機で上空から確認したところ、珠洲市や能登町の沿岸で、多数の家屋が流されたとみられる形跡が。
石川県の馳浩知事は、珠洲市の飯田港周辺が、海岸から約100メートルにわたり浸水し、住宅に被害が出たと説明。
この地震を、気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名。震源は、輪島市の東北東30キロ付近で、深さは暫定値で16キロ。地震は逆断層型で、地震の規模はマグニチュード(M)7.6と推定される2。
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地震のメカニズム 「恐れていた最悪のシナリオ」
能登半島の周辺では、約3年前から先端に位置する珠洲市を中心に群発地震が発生。それが、今回の地震の引き金となった可能性がある。
さらに建物や道路に多くの被害をもたらした95年の阪神大震災と類似した揺れも検出されたことで、専門家は
「恐れていた最悪のシナリオが起きてしまった」
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と頭を抱える。
能登半島では、2020年12月ごろから地震活動が活発化し、2023年末までに震度1以上を506回観測。
また、22年6月に震度6弱、23年5月には、震度6強の地震もあった。その後、一時は落ち着いたかに見えたものの、しかし地震活動は活発化。そして今回、地震の活動領域が一気に拡大。
1日午後9時までに震度1以上が59回発生し、被害は能登半島を中心に新潟県や福井県など広い範囲に及ぶ群発地震の一因と考えられているのが、地下深くから上昇してきた水などの「流体」。
これは、海のプレートが水を取り込んだ状態で日本列島の下に沈みこみ、能登半島の地下数百キロあたりで水が分離して上昇、周辺の岩盤に圧力をかけたり、断層を滑りやすくしたりしていると推定される4。
津波
今回の地震をめぐっては、気象庁が大津波警報(5メートル)を発表。しかし実際に観測された津波は輪島港(石川県)の「1.2メートル以上」が最大で、その他の観測点はいずれも1メートル未満。
そのため、中には「予測が過大だった」との声も少なくないものの、専門家は、
「過去に日本海沿岸域で発生した同程度の規模の地震でも、数メートルの大津波が起きた。今回の地震も、動いた断層の位置によっては、より大きな津波になった可能性がある」
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とし、注意を呼び掛ける。吉田明夫・静岡大客員教授(地震学)は東京新聞の取材に対し、
「(どこでどのような断層が動いたか、すぐには正確に分からない)地震直後に大津波警報を発表したことは、やむを得ない。おそらく今回の地震で生じた断層は、想定されていた海底断層でなく、能登半島の直下を縦断するような断層だったために、津波の原因となる海底の地殻変動が想定より小さく済んだのではないか」
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と指摘した。
冬の避難、注意点
現地では冬の避難生活における、厳しい寒さが大きな課題となっている。避難所や車内、停電による寒さの中の自宅生活は困難を伴う。一般社団法人避難所・避難生活学会は、
①低体温症に注意
②一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群に注意
③停電中の自宅でも一酸化炭素中毒や火災に注意
の3点について、注意を呼びかけた。
とくに冷え込む環境で長時間過ごすことは低体温症を招きかねない。年配の方々や体温調節が難しい人々にとって、震えや反応の鈍さは低体温症の初期症状に当たる。
適切な防寒対策としては、保温性の高い服装や乾燥した複数の衣服の層を重ねることが効果的。また、衣服の中に新聞紙を挟むことで、さらなる保温効果が期待できる。
警視庁災害対策課も、手が冷たくなった時の対処法が提案されている。手袋をした状態でも、手を素早く大きく振ることで、体の中心部から温かい血液が手先に流れ、寒さから手を守ることができるとのこと6。
加えて、使い捨てカイロの賢い使い方についても触れたい。カイロを密閉可能なポリ袋に入れて保管することで、使用しない時には冷却し、必要な時に取り出して再び暖を取ることができる。
これにより、カイロを絶えず使用するよりも長く温かさを保つことが可能に。
- 西日本新聞「能登震度7 死者57人」2024年1月3日付朝刊、1項
- 西日本新聞、2024年1月3日、1項
- 西日本新聞「半島の群発地震 引き金」2024年1月3日付朝刊、3項
- 西日本新聞、「半島の群発地震 引き金」2024年1月3日
- 宇佐見昭彦「「大津波警報は過大予測では?」の声に専門家は警鐘 過去には同規模地震で5m超、犠牲者100人も」東京新聞、2024年1月3日https://www.tokyo-np.co.jp/article/299925
- ウェザーニュース「冬の避難時の寒さ対策や注意点 新聞紙で暖を取る方法は」2024年1月4日、https://weathernews.jp/s/topics/202401/030145/