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アメリカのバイデン大統領は11日、米英の両軍がイエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域拠点を攻撃したと明らかに。
軍事攻撃は、昨年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に乗じ、紅海で商船を攻撃するフーシ派への報復措置によるもの。
他方、フーシ派は12日、5人の戦闘員が死亡し、さらに報復を重ねると主張。またイランも攻撃に反発しており、報復の連鎖が危惧される。
攻撃後、ニューヨーク原油先物相場(12日)は、一時、4%超急騰。紅海の航路は世界の海上貿易量の約1割を占め、日本と往来する商船も多数存在。
フーシ派の攻撃により大手の海運会社が航路の変更を強いられ、物流に遅れも生じている状況だ。
無人機や対艦弾道ミサイルで商船を狙うフーシ派の攻撃は、昨年11月半ば以降、27回を超える。バイデン大統領は、声明で、
「最も重要な商業航路で航行の自由を脅かすことを許さないという明確なメッセージだ」
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とする。
一方、フーシ派はハマスと連帯し、イスラエル関連の船を狙っていると主張、
「イエメンの主権を侵害し、地域をより不安定化させるだけだ」
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とイラン外務報道官との声明を出し、中東の不安定化が進む。
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中東緊張
米軍によると、攻撃は戦闘機による空爆のほか、潜水艦などからの巡航ミサイルでの攻撃だったとのこと。16の軍事拠点にある60以上の標的を狙い、無人機や司令部、弾薬庫を破壊した。
なお、攻撃はオーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダが支援したという1。
アメリカは昨年12月、商船保護のための多国籍部隊を発足させ、イギリスやバーレーンなど紅海南部や、アデン湾での共同パトロールに乗り出していた。攻撃に先立ち、米英や韓国など10カ国は、フーシ派への攻撃で、
「航行の自由を守る共通の決意を示した」
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とする共同声明を出す。日本は加わっていない。
フーシ派は、国際海運の大動脈である紅海で商船を繰り返し襲撃。対して、中東で戦火は広がないよう苦心してきたアメリカも容認できず、軍事拠点を「限定空爆」(米政府高官)してきた。
一方、反発するイランにほかの反米勢力が加担すれば、中東情勢のさらなる緊迫化を招きかねない。
米政府高官は、
「標的を厳選し、精密誘導兵器を使った」
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と過剰な反発を避けたい思惑が透けて見える。
フーシ派とは イエメンとは
フーシ派は、イエメンのイスラム教シーア派の一派であるザイド派の復興を目指し、教育や文化的活動を行っていた「信仰する若者」という組織を起源とする反米組織。
同じシーア派の大国であるイランの支援を受け、イエメン北部を実効支配している。
フーシ派は2004年からイエメン政府軍と断続的に戦闘を繰り広げ、15年に首都サヌアを制圧。すると、イエメンの暫定政権の要請を受けた隣国のサウジアラビアが空爆をはじめ、イエメンは本格的な内戦に陥った。
結果、イエメンは中東の最貧国と化し、暫定政権を支援するサウジアラビアとフーシ派を支えるイランの代理戦争の場となる。
そしてフーシ派はイスラエルを敵視し、パレスチナ自治区ガザでの攻撃をやめさせるまでイスラエルを攻撃すると主張。
対して、アメリカ当局は紅海での船舶の攻撃にはイスラエルと敵対するイランが「深く関与」していると見ているが、イランは関与を否定する3。
「大きな爆発音が何度か続き、街中に響き渡った」
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イエメンの首都サヌアの男性(31)は、こう共同通信の電話取材に答えた。
米英、紅海の安全確保狙う
紅海はスエズ運河を通じ、欧州とアジアや日本を結ぶ重要な航路であり、世界の海上貿易の15%近くが通るとされる。そして、この狭い海域に船舶が集中、自動車関連などさまざまな物資を運ぶ。
バイデン大統領は、声明で、フーシ派による商船の攻撃に影響は50カ国以上に及び、20カ国以上の船員が脅迫されたり、拘束されたりしていると指摘。
さらに2,000隻以上の船舶が、紅海を避けるために迂回を余儀なくされ、製品出荷に数週間の遅れが生じうるとして、世界経済への悪影響を懸念する。
しかしながら、今回の米英の報復攻撃においても、事態の鎮静化の見通しは立たない。米政府高官は、11日夜、記者団に対し、
「フーシの戦力が低下することを期待しているが、何らかの反撃があっても驚かない」
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と語り、今回の攻撃を経てもフーシ派の攻撃を完全に抑止できないと語る。
他方、イランの専門家からは、イラン政府が、紛争が拡大してアメリカやイスラエルの攻撃の矢が自分たちにも向かうことを懸念し、過度の紛争拡大は望まない4との声もある。