【有料記事】オンラインカジノ摘発――「ギャンブル大国」日本が抱える矛盾 賭博は社会悪か自由な娯楽か――日本と欧米、法と道徳の分岐点

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要約

オンラインカジノを巡る違法賭博事件の摘発が増加し、2024年には過去最多の279人が検挙された。賭博は日本では原則禁止されているが、特別法により合法化された公営ギャンブルやパチンコが広く普及。日本は「ギャンブル大国」と称され、戦後復興期に賭博産業が急速に拡大した。賭博禁止の理由としては、社会の労働倫理を守るためともいうが、海外ではギャンブルが個人の自由な娯楽として認められている国もある。

記事のポイント

  • オンラインカジノ関連の違法賭博事件で2024年には279人が摘発された。
  • 日本のギャンブル文化は公営競技やパチンコなど、特別法により合法化されている。
  • ギャンブル禁止の背景には労働倫理の維持があり、日本憲法第27条が「勤労の義務」を規定している。

 オンラインカジノを巡る違法賭博事件による摘発が相次いでいる。2024年には、過去最多となる279人(暫定値)が検挙され、前年の約1.5倍に達した。

 だが日本は世界的にもギャンブルが広く浸透している国の一つであり、パチンコや公営競技(競馬・競輪・競艇・宝くじ)などが日常的に楽しまれているのも事実。ただし、これらの多くは風俗営業法や各種特別法に基づき、例外的に認められているものであり、刑法上は賭博行為は原則として禁止されている。

 このような法制度の背景には、明治期に欧米の近代法や倫理観を導入する過程で、「賭博は社会悪である」という考え方が定着した歴史がある。

 しかし、海外、特に欧米諸国においては、賭博に対する法的・倫理的スタンスは日本とは大きく異なっている。たとえば、イギリスでは1960年に制定された「Betting and Gaming Act 1960」によって、カジノを含む賭博が合法化され、ギャンブル産業は社会的に容認されてきた。

 現在、オンライン賭博を含め、政府のライセンス制度の下で厳格に規制されており、ギャンブルは違法でも不道徳でもなく、個人の自由な娯楽の一つとして認識されている。

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ギャンブル大国 戦後復興のなかで

 日本はしばしば「ギャンブル大国」と称される。その理由は、公営競技やパチンコ・パチスロといった巨大なギャンブル関連産業が、経済や社会に深く根付いているからである。

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